第五回 蜀雄は乱を避け興業を計る
史上に
蜀の
後主の第三子である
※
幼子を託された劉璩は後主劉禅の末子、諸王の中にあって「智慧袋」と呼ばれるほどに
▼『後傳』では劉璩は
▼劉封の子は
その劉霊に劉璩が問う。
「今や国運は風前の
「突き詰めれば、害を避けて身を全うすることに尽きましょう。手を
▼「劉伯根」は『通俗』『後傳』ともに「
「吾もそのように案じていた。伯根兄を
それを聞くや、劉霊は駆け出して兄の劉伯根を連れ戻る。
「崩れようとする屋敷を一本の柱では支えきれません。城が陥れば
▼「尊兄」は兄弟または親戚の年長者への呼びかけに遣う二人称。
劉璩の問いに劉伯根が意見を開陳する。
「
▼「賢弟」は兄弟または親戚の年少者への呼びかけに使う二人称。
「吾もまったく同じ考えです」
劉璩の言葉が終わる前に何者かが昭烈廟に入って呼びかける。
「
慌てて出迎えると、声の主は
▼楊儀の子の名は伝わらない。
「あなたの家に伺うと、昭烈廟に行かれたとのこと、それならと此処まで来たわけです。皇子がおられるのであれば、
劉霊とともに廟に入ると次のように言う。
「この楊龍は
▼「重耳」は後の晋の文公、春秋の
※
楊龍がそう言ったとき、昭烈廟に一人の勇士が姿を現した。足音高く廟に踏み込むや、一同を見て大喝する。
「まだこんな所に残っているのか。自らの命を敵に送りつけるようなものだぞ」
▼「梁王」は劉禅の異母弟の
「兄の
劉璩が齊萬年の手を
「
劉璩の長子の
齊萬年は語を継ぐ。
「殿下の御志は承知いたしましたが、吾が一身にて北地王の公子までお救いしようとしても、おそらくはいずれもお助けできますまい。臣に
その言葉に反対する者はなく、齊萬年は馬を駆って廖全の
▼廖化の子の名は伝わらない。
劉璩を含めて昭烈廟に集った者たちは、いずれも劣らぬ義勇の人、すみやかに城を出なくてはと勇むところに、齊萬年が廖全を伴って駆け戻る。劉霊と楊龍は包囲の一方を破るべく手薄な場所を探り出し、一斉に西門を破って城外に出た。
※
齊萬年は大刀を手に先頭に立って
その時、魏将の
「お前たちはみな官服を着ているが、
齊萬年はその言葉が耳に入らぬごとく、怒りに眼を雷光のように光らせて大刀を車輪に回し、当たるを幸い前を阻む魏兵を斬り散らす。方來もまた鎗を
方來は齊萬年の敵ではないが、多勢の魏兵を追い払うのが精一杯、重ねて眷族も守り抜かねばならない。齊萬年は前を阻む方來を馬から突き落としただけで通り過ぎた。
先頭に立つ齊萬年が血路を拓いて魏軍の包囲を抜けると、廖全も勇を奮ってそれにつづき、もはや前を阻む者もない。一同ついに包囲を抜けたが、方來は諦めず兵を差し招いて追いすがる。
「魏兵どもは死命を知らず追ってくる。大将を斬らねば追撃はやむまい」
齊萬年はそう言うと、馬を返して迎え撃ち、一刀の下に方來を斬り殺した。魏兵はその様に臆して逃げ戻っていく。
かくして劉曜を含む一同は九死に一生を得たことであった。
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