四、
今となっては もう確かめる術(すべ)のないこと。
だけど、こうして眠りの中でだけ幸せそうに笑う、耀の寝顔を見ていると、可南子が彼の魂だけを彼岸の果てにまで道連れにしていったように思われて、決定的な敗北感を感じてしまうのだ。私は一生、耀を可南子の腕の中から取り戻すことができないのだろうか?
病室の窓の外、やけっぱちのように雪が舞っている。可南子が死に、耀が狂ったあの日から恐ろしく寒い日が続いている。街はすっかり白で塗りつぶされている。
やはり明日、予定通り婚姻届を出そう。もう迷わない。
雪化粧の白い白い街を見ながら、私は一生着ることはないだろう花嫁衣装を思い、声を出さずに泣いた。
…ずっと、夢見てた。耀ちゃん、あなたのお嫁さんになれるなら、他には何も望まない。私が世界のすべてからあなたを全力で守る、
静かに寝息を立てる耀の、色素の薄い唇にくちづける。
世界の終わりのような白い夜、私は最愛の人にファースト・キスを贈った。
果ての果て、終わりの終わり。 琥珀 燦(こはく あき) @kohaku3753
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