6月15日 投開票日3:木曽千鶴子「接戦だったよ。みんな、よく頑張ったね」
吉良小夜子
「木曽さん。結果が出たの?」
彼女は首を縦に振った。
「結果は出たよ。接戦だったよ。みんな、よく頑張ったね」
「ありがとう。木曽さん。みんなで見に行こう。すぐそこだし」
古城さんも賛成してくれた。
「そうだね。みんなで行こうよ。結果はみんなの結果なんだから」
そういうと音田先輩と保阪先輩が留守番を引き受けると言ってくれた。
「この教室は3年生で見ているから行って来たらいいよ」
この言葉に甘えて選挙陣営メンバーみんなで生徒自治会の会議室へと移動した。
古城ミフユ
会議室へ入った時、加美さんが泣いていたので、負けたかと思った。
吉良小夜子
会議室では立候補者側の立ち会い人となってもらった
大村敦
私は会長としてみんなに結果を告げた。
「中央高生徒自治会長選挙の結果が出ました。近年ない接戦で両陣営の努力には敬意を表します。皆さんは吉良さん、古城さんをよく支えて選挙戦を戦い抜いたと思います。この高校の生徒自治会をどうしていくか、選挙を通じて全校生徒もよく考えられたんじゃないだろうか。そういう意味でいい選挙だったと思う」
ワンテンポ置いてから言った。
「次期中央高生徒自治会長は古城ミフユさんに決まりました。おめでとう」
吉良小夜子
私は隣に来ていた
「
「小夜子のせいじゃないよ。精一杯やったよ。でもやっぱり悔しい!」
そして私は
あの水野くんも麻野くんも渡先輩まで泣いていた。みんなのためにも勝ちたかったな。
古城ミフユ
「私達、勝ったんだ」
私がぼそっとそうつぶやくと陽子ちゃんや肇くん、秋山さん、姫岡くんが破顔した。
「冬ちゃん。おめでとう」
「古城、お前が勝ち取ったんだから喜べよ」
「古城さん、おめでとう。私もうれしいよ!」
「古城さんなら大丈夫だと思ってたけど、良かった!」
そして泣いていた加美さんが言った。
「あ、これはうれし涙と悔し涙半々です。1年生で相当巻き返されていて約束守れませんでした。ごめんなさい。これは危ういと思ったんですが、2年生で先輩達の支持が予想よりは多かったので良かったです。先輩の選挙参謀としてはこれではちょっとダメですね」
みんな、これを聞いて更に爆笑してしまった。きょとんとする加美さん。
私は彼女に感謝の言葉を伝えた。
「加美さんがいたから1年生に訴える事が出来た。あなたがいなかったら1年生で大負けしてるのに勝ったんだよ。だからそんな事は言わないで」
「はい」
詳しい数字がホワイトボードにマグネットで貼り出された。
1年生 古城 108/吉良 92
2年生 古城 115/吉良 85
3年生 古城 91/吉良 109
合計 古城 314/吉良 286
当選者:2年A組 古城 ミフユ
次点:2年D組 吉良 小夜子
吉良さんが私の方へ来て右手を差し出してきた。
「古城さん。おめでとう。私の負けです。いい生徒自治会にして欲しい。私もやりたい事が出来たから、それはまた生徒自治会に要望していきます」
「ねえ、小夜子ちゃん。選挙戦も終わったから、そう呼んで良いよね?私の事はミフユか冬ちゃんって呼んでくれたら良いから」
「……じゃあ、ミフユちゃんで」
「どうぞ。そう呼んで。そして一つ考えて欲しい事がある。小夜子ちゃんに新執行部の監査委員に入って欲しい。今回の選挙戦でお互いに意見が合わない事、合う事が見えたと思う。そういう人が諫める側のポジションに入っていて欲しい」
「でも、ミフユちゃん。私もやりたい事があるから」
「それはそれでやったらいいよ、小夜子ちゃん。チェック役としてなら常勤である必要はないし」
「分かった。少し時間くれないかな。
「いいよ。勿論」
ほとんど衝動としか言いようがない思いつきだった。それが証拠にみんな驚いたって言われた。でも、その中で陽子ちゃん、肇くんと加美さんからは良いアイデアじゃないかなとも言ってもらえた。
この後、放送委員会の2年生アナウンサーと新聞委員会の2年生記者(編集長だった)が取材に来たのでそれに答えた。
こうして選挙は終わった。そして会長となる事が決まった事で取り組むべき課題と一つの謎が残ったのだった。
前回の制服変更は何故学校側は前向きに受け入れたのか。そして安達先輩が言う「人形遣いがいた。自分の方が人形遣いのつもりだったけど相手の方が一枚上手だった」だった。この謎は何か引っかかる。
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