6月 9日 余波4:姫岡秀幸「いいと思うよ。……イテッ」
加美洋子(承前)
私は気になっている事があったので聞いた。
「あと文化祭ですけど、公約が漠然としていてイメージできません。もっと具体性を持たせた方が良くないですか?会長の文化祭専従機関って6月会長選から11月の文化祭までの5ヶ月ですよね。本来なら4月からそうなっていた方がいいと思うんですけど」
古城先輩も頷いた。
「それは言えてる。可能なら前の年の開催終了時点の11月にもうそうなっていていいとすら思う。私の代じゃ無理だと思うけど変えるべき不合理の一つかな」
「なんで、うちって文化祭実行委員会がないんでしょうね?」
「中央高新聞のバックナンバーを見る限り一貫して変わってない『伝統』の一つではあるね」と古城先輩。
「加美さんの言うとおり、文化祭実行委員会があって不都合はないと思う。昔は何かあったかも知れないけどそういう問題は時が押し流していて誰も覚えてないみたいだし。学校側だって分かってないんじゃないかな」
と言ったのは陽子先輩だった。
「とはいえ文化祭の実務は会計委員会が大きく関与している。あいつらそのために委員会に志願して入っているからな。あそことの調整はいるね。あそこは放送委員会と同じ独立委員会だからやり方を間違えると大火傷するから慎重にやらないと」
流石は慎重に石橋を叩いて壊してしまう日向先輩。冷静な分析です。ほんと中学校で組めていたら面白かっただろうな。
「日向先輩の言う通り、あの委員会は手を付けられないですね。でも会長の文化祭関与を文化祭実行委員会を設ける事で分離はできますよ」
「それはいい手かも知れないな。それが出来るなら来年の改選時に会長任期を終了して引き継いで実行委員会の委員長のなり手がいなければ前会長がやるというスキームは出来るだろう」
と日向先輩。陽子先輩がもう一段掘り下げた。
「それなら実行委員長実務は会計委員会の副委員長がやってもいいんじゃない?」
頷く日向先輩。
「生徒自治会がどこまでコントロールするかという問題だと思う。この点をはっきりさせれば委員長のポスト自体は会計委員会副委員長兼務でその後見人として前会長がいればいいという仕組みは出来るかもな」
日向先輩にしろ陽子先輩にしろ過激。そこまで行くのか。いや、行くべきなんじゃないか。
「古城はどう思っている?」
「単なるお祭りだという形にならないようにという理由で会長が責任を負うという仕組みになっているんだと思うよ。段階的にいくなら6月改選時に会長退任で文化祭専従にするって話になるのかな。ただ、そういう意味でのコントロールが効いていればいいのなら実行委員長自体は会計委員会のトップである副委員長の人手いいよね。その上で何か適当な名目で監査、承認確認だけ前会長がやるとかやり方はあると思う」
私は方針は示されたと思った。
「その線を討論会で打ち出しませんか。文化祭実行委員会を設置してその時点で会長は退任して文化祭実行委員会の委員長かオブザーバーとしてチェック機構の役割を果たしていく。勿論会計委員会にも関与してもらう事だと言えば話は通ると思いますし、多分文化祭を強化したい文化部の支持は固いです」
「冬ちゃんがいいなら私は賛成」と陽子先輩。
「異議なし」と単刀直入な日向先輩。
「いいと思うよ。……イテッ」と姫岡先輩。
「なんで姫岡が私より先に言うのよ。……運動部だって文化祭は楽しみだから。受けると思うよ。賛成」
最後に秋山先輩が賛意のアタックを入れてきて討論会に向けた方針が決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます