第2話

道は一本道で、分かれ道などなかったはずなのだが。


それともなれない山道で、見落としたのか。


「すみません。国道に出るにはどっちに行けばいいですか?」


半ば動揺しながら、先ほどと同じ事を聞いた。


二人は前回と同じく無表情と言う名の表情で俺を見て、今度は女のほうが進行方向、つまり最初と同じ方向を指差した。


その時、俺は気付いた。


さっきは何もなかったテーブルの上に大きなコンロがあり、その上に大きな鍋があることに。


「すみませんでした」


俺は車を走らせた。



相変わらず愚痴る友人を無視し、わき道に気をつけながら進むと、車は三度同じ小屋に着いた。


――? ?


もはやわけがわからない。


どうしようかと考えていると、二人が立ち上がり、こちらに向かって歩いてきた。


完全なる無表情のままに。


そしてその両手には、大きな包丁と鉈が握られていた。



      終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異界道 ツヨシ @kunkunkonkon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ