第4話

 何度も、同じ箇所を少女の指が往復する。

 その度に、少年の身体は小刻みに震えている。


 その反応が楽しくて、少女は行為をさらにエスカレートさせていく。


「や、やめて」

「やーだ」


「お、怒るよ」

「どーぞ」


「本当に、ダメだって」

「ふふっ、かーわいい」


 熱を帯びた眼差しで執拗に少年の敏感な部分をさすった。

 少年は顔を上気させながらため息を漏らす。

 そのなんとも言えない艶めいた視線に、少女は昂ぶっていた。

 その時、

 少年の眼が金色に輝いたかと思うと、馬乗りになっていた少女は跳ね除けられ、勢いよく尻餅をつく。


「イッターイ」

 少女はあざとくお尻をさすりながら少年の方へと向ける。

 少年は眼をカッと見開くとその姿は変貌していった。

 痩身な身体は、筋肉の締まった肉体に。

 猫背だった背中は伸びて、身長も高くなったような気がする。

 毛深い剛毛に覆われ、両手には鋭い爪が輝いている。


 大きな口にはこれまた鋭い牙が何本もあり、柔肌に食い込めばすぐさま血が滴りそうな勢いだ。

 少年はにじり寄り、少女の肩に手をかける。

 少女も少年の興奮が直に伝わり、期待感に胸を震わせていた。


「さっきのお返しだ」


 少年は短く言い放つと、少女の大事な部分に歯を立てる。

 苦悶の表情と、懊悩に少女は身体を痙攣させる。


 少年は何度も少女の背中に生えた翼を甘噛みした。


「ちょっとしつこく耳、触っただけじゃない」

「そこが一番、くすぐったいの知っててやった癖に」


 少年は反撃だと言わんばかりにそのあと、執拗に舐ったり、噛んだりを繰り返した。

 少女は少年の躍動感に胸躍らせながら、その心地いい快楽の波に浸っていたのだった。


 <了>

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お熱いおふたりさん 発条璃々 @naKo_Kanagi885

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