第3話
バケツをひっくり返したような土砂降り。
急に雲行きが怪しくなったかと思えば、一瞬で空は真っ黒となり……
ーー今に至る。
思わず駆け込んだ、ボロい海の家。
屋根があるだけマシな作りだった。
雨に濡れて冷えた身体。肩を抱いてなんとか寒さから逃れようとするが、震えは治らなかった。
その時、少年が着ていたパーカーを少女の肩にかけてあげる。
「曇ってるし、雨だし。紫外線、大丈夫だから」
少年はそっぽを向きながらそれだけをいう。
少年のさりげない優しさに少女の鼓動は早鐘になる。
少女は我慢の限界に達して、少年を勢いよく押し倒した。
馬乗りになって見下ろす少女の瞳は、妖しく紅色に輝いている。
いわゆる、魅了という能力が発動している。
本来であればその瞳に見つめられると、心を懐柔することができるのだが。
同じような人狼にその類の能力は効かない。
それでも、少女は興奮を抑えられずにいた。
吐く息は甘ったるく、脳を甘美に蕩けさせる。
身体から醸し出される色気が、徐々に高まっていき少年の敏感な部分に触れる。
少年は身をよじって逃げようとするが、変身していない人狼は非力だ。
元々、非力すぎて脱出は不可能だった。
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