第2話

 だが少女は、人狼の誰よりも艶やかな髪をしている少年に惚れている。

 肌触りが良く、いつまでも触れていたい心地いい感触。

 毒気は抜かれ、ただただ癒しのために存在していると言ってもいい。

 あの、百戦錬磨と言われていた恋多き少女の今の姿である。


「ねえ、遊ぼうよ」

「疲れる」


「ねえ、触って」

「疲れる」


「ねえ、誰も見ていないんだし」

「そういう問題じゃない」


 少女は嘆息すると、空を眺めた。

 少女はまだ諦めていない。

 今日は月に一度の満月だ。

 いやでも少年は狼になるだろう。

 夜が楽しみで、思わずにやけてしまうのを止められなかった。

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