老人。
Enpy
第1話
老人がいた。
吊革につかまり、あるいは棒に掴まり、ようようと揺れていた。
やせ細った体躯。
しかし姿勢は安定していた。
右手に鞄。
傘は壁に立てかけてある。
その老人はふらりと電車の中に入ってきた。
ふらふらと車内を歩いた後、入り口ドア付近の棒につかまって場所を落ち着けた。
彼の目線だろうか。
その杓子のように曲がった体躯だろうか。
異様な雰囲気が漂う。
しかしその灰色のズボンが。
洒落た縞シャツが。
そして、老人の身体を伝うそれをオマージュしたかのよう年季の入ったベルトのしわが。
他を寄せ付けぬ渋さを。
カッコ良さを醸し出していた。
老人。 Enpy @ENP
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