第48話 【紙の本】童貞臭がするんだよなぁ……

いや、なろう小説なんですけどね


最新話までマメに更新チェックしておきながらどの口でいうのか?(って、この慣用句もそのうち「どの指でフリックするのか?」に置き換わるんですかね?)って感じなんですけれど……


『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 』(GA文庫)

https://ga.sbcr.jp/sp/otonari/index.html

https://ncode.syosetu.com/n8440fe/


売れ行きも好調だし(こっそりPOS調べ)

いや、面白いとは思うんですよ?

こまめに更新チェックしちゃうくらい、私も読んでますしね


ベタな出会い

手垢のついたジレジレ展開

いかにもなヒロインのワケありな過去

冴えない主人公が身だしなみを整えると実はカッコいい


上手いと思うんですよ


……でもね、主人公のヒロインを想う気持ちが……


〈em〉〈b〉〈string〉童貞臭くて気持ち悪い〈/em〉〈/b〉〈/string〉


主人公が童貞でもですね、


『主婦部』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880236607

『だっているかもしれないじゃん?』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880940472

『恋ひとつ、ふたりのあした、晴れますように。』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881463108

『佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet!』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880240118

(童貞じゃないかもしれないけれど)『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882739112


とかね、別に気持ち悪くないっていうか、むしろ大好きな作品もいっぱいあるんですよ?


なのになぜこの作品だけ(正確にはこれが売れたから気になるだけで、きっと他にもたくさんあるはずですが)がいちいちかんさわるのか?


たぶん、答は他社のラノベで申し訳ないのですが、『弱キャラ友崎くん』

https://www.shogakukan.co.jp/books/volume/44774

にあると思うのです


パリピな感じ(実は後々わかるそれなりの屈託は抱えているのだけれど)の友人、水沢のセリフ「モテるやつがよりモテる」(大意)とか「お前の倫理観はマンガやラノベで覚えたんだろう」(大意)とかに集約されると思うのですよ


つまりひとことで言って「リアリティがない」


こんな理想的な女の子がふとしたはずみで「冴えない自分」(読者自身を投影している)に惚れることがあるだろうか? いやない(反語表現)っていうか、プラス×プラス=マイナスみたいな、中学数学の反対みたいな


そもそも、そんな理想的な女の子の存在自体がありえないわけで


でね、その「冴えない自分」はですね、彼女を大事にしなくちゃって思ってるわけですよ

それはそれは、昭和の頃の少女マンガもしくはコバルト文庫(少女小説って言いたいところだけど、その頃は事実上コバルトしかなかったからね)のヒロインを好きなカッコいい(当時は「イケメン」って言葉はまだなかった)オトコのコみたいな正義感なわけですよ


性的な意味での潔癖感というか、正義感? なんだっけ――ストロングゼロ飲みながら書いてるせいで適切な言葉が出てこない――そういうのが現代にアップデートされてないわけですよ


佐伯さん(件の作品の作者さまじゃなく『ひとつ屋根の下』のヒロインの方ね)と暮らす弓月くんみたいに現代風にアップデートされてるわけでもなく、主婦部の篠岡くんみたいにステレオタイプな鈍感系主人公でもなく、現実の自分を投影できる「冴えない自分」である藤宮周くん――が、ね……言葉は悪いけど自己陶酔というか、彼女の貞操を守っている自分の自制心カッコイイ! みたいな、ね……どうにも……


キモチワルイ


っていうか、昭和の頃に十代だった自分の黒歴史的妄想を想起させるのが、ね……癒えたはずの古傷がうずく、みたいな……


同族嫌悪?


ああ、つまりは昭和から令和になっても、「モテない男子」が自己投影できる「カッコイイ自分」のスタイルは相変わらずというか、小説書きの経験値は読書でしかアップデートできないから、巡り巡ってそう簡単にはアップデートできないものなのだな、という仮の結論

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