八千五百万手の永世竜王君。

コヨヤミ

第1話 内弟子は、JS3人組!①

「ふにゃ~!」

と、俺、逢瀬ヶ崎東オウセガサキ アズマは、欠伸をしながら二階の寝室から一階の広間へ下りて行った。

「おはよう。東。」

と、茶髪の編み込みヘアーの幼馴染両親が勝手に決めた許嫁清峰愛奈キヨミネ アイナは、エプロンをヒラヒラとなびかせながら朝御飯を作っていた。

俺は、将棋界史上初小学生で四段プロ入りした。中学二年の時に将棋界の最高位称号である竜王を獲得した。そして、その翌年に防衛を果たし、九段となり、それから他の称号をすべて取って、23歳となった今では、叡王えいおうと呼ばれる称号以外は、永世称号や名誉称号を獲得した。

取った順としては、竜王⇒名人⇒王将⇒王座⇒王位⇒棋聖⇒棋王⇒叡王。

王座という称号を獲得した時に永世竜王えいせいりゅうおうという称号を獲得した。今ではネットでエゴサーチをしてみると『無敗の永世竜王常勝へ応援スレ』などが一番上に出てくる。

愛奈は、女流棋士で、二冠だが、熱狂的なファンがいるほどだ。

「おはよう。愛奈。今日のご飯は何?」

「何だと思うの?弟子を取らない八冠さん。」

「目玉焼き。つか、最後のひどいよね!?」

「だって。本当の事じゃん?あっ。目玉焼きが良かったの?野菜炒めだけど。」

「愛菜の野菜炒め美味しいから良いんだけどね。仕方ない。道場行ってみるかな。気の乗らないけど。」

と、俺は、言った。

そのあと二人でご飯を食べた。

――――――――――――――――――――————————————————

「あっ。東君………じゃなくて逢瀬ヶ崎八冠先生。お早う御座います。今日は何しに?」

「あっ。猪下さん。お早う御座います。ただなんとなく。そうだ。猪下さん。」

「何ですか?」

「あの子達って………。」

「あぁ。藤代桐花フジシロ トウカちゃんと山城桜花ヤマシロ オウカちゃん、そして、仙羅院夢花センライン ユメカちゃんね。」

「へぇ~………。」

「あっちで3人でマグネットの方で将棋してるよ。」

と、猪下さんは、言い、受付から指差した。

「へぇ~………大きい方で?」

「はい。」

「師匠とか居るのかな?」

「どうかしたの?」

「清峰女流二冠が、早く弟子取れ言うし、師匠も言うし、で。会いに来たかな。」

「清峰女流二冠と御津船崇彦ミツフネ タカヒコ九段がですか?」

「えぇ~まぁ。「恩返しならあともう一つして貰ってないのだが。それは内弟子弟子を取れ!」と。」

「はぁ………。でも清峰女流二冠とは、昔将棋デートしてましたよね?」

「まぁ………。行く所、ここしか考えられなかったからつい。んじゃ。」

と、俺は、言い、部屋の奥でよくテレビで放送されている将棋番組で使われている将棋板で将棋をしている小学生の所へ行った。

「こうしてこうして………。」

「こうして………。」

「そこ二歩。」

「「わっ!!」はっはちかん!!」

「どうも。で、君達は、師匠とか居るのかな?」

「居ないです!!」

「プロ棋士……女流棋士なりたい?手助けは、できるけど?」

「「なりたいです!!」」

「んじゃさ?一門うちになる?」

女流棋士になるには、どこかの一門に入るのが定石である。

――――――――――――――――――――———————————————

「愛奈。連れてきたよ!俺の弟子!3人。」

「お帰り~!えっ!?3人!?」

「うん。」

「いらっしゃい♪さっき、連盟から連絡来たよ~?」

「よろしくお願いします!清峰女流二冠!」

「ところで、何て?」

「先程、逢瀬ヶ崎八冠が、道場に来て、弟子を取るって言ってたのですが………。だって。」

「親御さん達に連絡して次の研修会の時に挨拶させてくれだってさ。住み込みで学校とここで将棋の勉強をするから。」

「はぁーい。」

「手始めに実力を知りたいから平手ハンデなしでやってみようか。負けても良いから。勝てたら逆に怖いし。」

「3面打ち頑張ってね。」

「まぁな。ちょっと和服着てくる。」

「和服着てくるって和服着てるじゃん!!」

「これとは別。」

――――――――――――――――――――———————————————

「負けましたぁ~………。」

「んじゃ。3人とも感想戦やろうか。」

「はい!」

それから数分後感想戦を終え、俺は、和服から普段着に着替えた。

「あのぉ~。はっはちかんは、どの位和服を持ってるのですか?」

「俺?今から俺の事を師匠って呼んでね?和服ね?和服は………。」

「6着。」

「愛奈!?」

「竜王戦の時とか対局がある場合に着る和服がね。いつも着ている和服を合わせると25着。」

「愛奈も和服着る時あるじゃん!」

「まぁ。私は、普段着として使ってないし。」

「俺も普段着として使ってないよ!?」

「えっ!?あれは?」

と、愛奈は、和服専用の衣文掛けを指さしながら言った。

「あれは…将棋連盟に顔出しする時とかかな。」

「そうなの?あっ。また叡王戦勝って来たんだっけね。」

「んまぁ~…ね。2時間で昨日挑戦者に勝ってきた。3期連続叡王になったし。」

と、俺は、右手でピースサインをしながら言った。

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