いじめ・障がい者差別について

@karaokeoff0305

本当の差別と真の平等について、話をしようーある男性教諭の告白ー

「障害のある子も、ない子も平等にしましょう」



あれは誰が言い出したのかー彼を受け持つ特別支援学級の、

男性教諭の言葉であっただろうか?その一言が目の前の悲劇を生み出すきっかけとなった。



「うわー、アイツのせいで俺のチーム負け確定だよ、クッソ」


「せっかく良い所までいってたのに。フザけんな」



私が担任を受けもつ、特別支援学級に通う生徒ー重度の知的障害があり、そのクラスに通っているーが、罵詈雑言を浴びせられ、石を投げられている。


「コラ、○○(生徒の名前)」!」と大声で怒鳴り、止めに入るが、生徒は一向にその行動を辞めようとしない。



(まぁ、無理でもないかー)


暴言・暴力を肯定する気は更々ない。だが、この悲劇を生み出したあの教諭にも問題がある。そんな考えが頭を駆け巡った。



「やっちゃんだって、みんなと同じように体育祭に参加したいはずです。

だから一緒に走らせましょうよ、リレー」



遡ること一ヶ月前ー体育祭の種目決めについて教師同士で話し合いをしていると、突然一人の教師が手を上げ、私にそう言った。



「今は種目決めの話し合い中ですので、その話は後ほど・・・」


と、校長が窘めても教師は聞く耳を持たなかった。



「お言葉ですが、校長は福祉への想いが足りないんじゃあありません?

僕の話はいつもそっちの気ですし・・・」



それから、どんな話があってこんなことになったのか鮮明に思い出せないがー気付けば、重度知的障害のその子も、一緒にリレーに参加することとなった。



「俺、かけっこ得意なんだ。全国大会にも出たことあるし。

俺が居る限り赤組の優勝は確実だぜ、イェイ!」


「エッヘーン。こっちにも、全国大会優勝のコウくんがいまーす。

優勝は俺たち白組だもんねっ!」



赤組・白組のチーム分けが決まった時ー

学校は、生徒達の楽しそうな喜びの声で溢れかえっていた。

それがどうだろう、彼の参加が決まってからは驚愕と落胆の声で満ち溢れていった。



「せめてハンデを。このままじゃ、やっちゃんが可哀相です」



その教師に一度、頭を下げて懇願しに行ったがー



「駄目だよ駄目駄目。そういうのをサベツって言うんだ。『みんなで助け合ってゴール』思いやりを学ぶことも大切じゃないか」



そう言って、教師は頑として首を縦に振らなかった。

かくして、彼の愚行は強行された。



「やっちゃんのバーカ。ノロマ、バカ、死ね!」


「オメーのせいで俺達が負けたんだよ。反・省・し・ろ!」


やっちゃんがリレーから戻ると、生徒達は口々にそう言って彼を非難した。

彼は、ニコニコと笑みを浮かべてその状況を眺めている。重度の知的障がいがあるので、恐らく状況が掴めていないのだろう。「いい加減にしろ」私は叫ぶ。だけど、生徒は言うことを聞かない。



「お前のせいで負けたんだから、罰ゲームだ。おらよっ」


「やっちゃ~ん、『ごめんなさい』の一言もナシでしゅかあ?」



彼に投げられる、無数の小石。

すぐさま生徒に近づき、バシーンッ!と頬を殴った。



「あ、先生が体罰してるー。後でお母さんに言いつけようっと」


「暴力教師だ、逃げろー!」



頬を殴った後で、(しまった。)と思った。

卑劣な行為を行ってたとは言え、暴力を暴力で返すのは教師失格ではないか。

そんな想いが脳裏を過った。



「まァ、あんたのしてるコト間違いじゃないよ。」


ボソリ、近くで女の子の声がした。パニックになりながらも声がする

方向に目をやると、そこには中学1~2年生くらいの女の子が立っていた。



「ハンディも何もつけずに走らせるなんてね。これの何処が『平等』なんだか。ああいう大人が増えるから、差別はなくならないんだよ」



無表情のまま、淡々と少女は言葉を紡いだ。



「安心しな。アンタの首は私が守る。お父さんがPTAの役員をやっててねー

ある程度の権力はあるんだ、ワタシ」



自慢気にそう話す、彼女の言葉に目を白黒させながら、再度先程の生徒と向き合った。



「放課後、職員室まで来なさい」



私が言った言葉を、この生徒が理解してくれるかどうかは分からないが―

ただ、『思いやり』の欠片もないような、そんな酷い大人になって欲しくない。そんな強い想いが、頭に浮かび、生徒に苦行を課した。




間違っていることも、間違っていると言えない世の中。

差別だ、平等だ。などと言って無理難題な理想論を押し付けてくる教諭。

一体、誰が間違っているんだろう。どこでボタンを掛け違えたのだろう。

モヤモヤとした感情が、抱えた葛藤が常に頭の中を支配している。





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