第4話 繰り返す懐中時計 其ノ貮

 その日も私は店の奥でダラダラとしていた。


 客は……来ない。来ないはずなのだが……そろそろ来そうな気がする。


 私はふと、店先から声が聞こえてきた気がしてきたので、私は立ち上がった。


 そして、そのまま店先まで出るも……誰も来る気配はなかった。


 仕方がないので、私は商品棚を見る。


 そこには、懐中時計が置いてある。


 私は懐中時計を見た。


「……本当に、壊れているようだな」


 私は大きくため息をついて、今一度居間の奥に戻った。そして、再度ダラダラすることを再開した。


 それから、しばらくして佳乃が帰ってきた。いつも通り夕食の支度をして、飯を食って風呂に入って、床についた。


「旦那」


 寝る前に、横の布団から佳乃が話しかけてきた。


「ん? なんだ?」


「今日、どんな一日だった?」


 佳乃に聞かれて私は少し考えた後で、こう答える。


「……特に何もない一日だった」


 私がそう答えると、佳乃は苦笑いした。


 私はそれを確認してから、眠りについたのだった……そして、朝が来た。


 その日も私は店の奥でダラダラとしていた。


 客は……来ない。来ないはずなのだが……そろそろ来そうな気がする。


 私はふと、店先から声が聞こえてきた気がしてきたので、私は立ち上がった。


 そして、そのまま店先まで出るも……誰も来る気配はなかった。


 仕方がないので、私は商品棚を見る。


 そこには、懐中時計が置いてある。


 私は懐中時計を見た。


「……本当に、壊れているようだな」


 私は大きくため息をついて、今一度居間の奥に戻った。


 そして、再度ダラダラすることを再開した。


 それから、しばらくして佳乃が帰ってきた。いつも通り夕食の支度をして、飯を食って風呂に入って、床についた。


「旦那」


 寝る前に、横の布団から佳乃が話しかけてきた。


「ん? なんだ?」


「今日、どんな一日だった?」


 佳乃に聞かれて私は少し考えた後で、こう答える。


「……特に何もない一日だった」


 私がそう答えると、佳乃は苦笑いした。


 私はそれを確認してから、眠りについたのだった……そして、朝が来た。


 その日も私は……ん?


 ……もしかして、これは……同じことを繰り返しているのではないか?


 私はその日、ようやく気付いた。無論、私の毎日は繰り返しのような単調なものだが……


 私の意味のない行動……そして、佳乃との会話……


「……まさか。何かがおかしい……もしかして……」


 私は立ち上がる。そして、商品棚へと向かう。


 そこには、懐中時計が置いてある。


 私は懐中時計を見た。


「……本当に、壊れているようだな」


  ……へ?


 私は別の言葉を言うつもりだったのに……自然とそれが阻害されてしまった。


 そして、またしても私は大きくため息をついて、今一度居間の奥に戻った。


 そして、再度ダラダラすることを再開した。


 それから、しばらくして佳乃が帰ってきた。


 いつも通り夕食の支度をして、飯を食って風呂に入って、床についた。


「旦那」


 寝る前に、横の布団から佳乃が話しかけてきた。


「ん? なんだ?」


「今日、どんな一日だった?」


 佳乃に聞かれて私は少し考えた後で、こう答える。


「……特に何もない一日だった」


 私がそう答えると、佳乃は苦笑いした。


 私はそれを確認してから、眠りについたのだった……そして、眠りにつく瞬間、理解した。


 大変なことに、巻き込まれているのだ、と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る