淡々たたたん


市役所で死ぬほど長い会話と書類を書き、死ぬほど疲れていた。でも異世界三門市に行く、それだけは決めていた。

僕は電車を乗り継ぎ東京都内の1つの高級そうなビルにたどり着いた。持っているのものはスマートフォンと音楽プレイヤー。そして銀行でおろしてきたありったけのお金、10万円。その三つを……おっと忘れてた。この『三門市異世界行きのパスポート』の四つを持ち、僕は高級そうなビルの中に入った。


ビルの入り口は、美人な女の人が2人、僕の顔を見てにこりと微笑み、


「「本日はどのようなご用件でしょうか?」」


と言ってきた。僕は「(…双子なの?)」と思いながら


「異世界に行くことになった田中直也と申しますが……」


そう言った。その時、(双子?)2人の女の人が神妙な面持ちでこっちを見つめ、『パスポートを拝借してもよろしいでしょうか』と言い、僕のパスポートを見ていた。それからすぐに、どこかに連絡をし始めた。僕は『いくらでも待ってやりますよなにせこの前には市役所で3時間以上待たされたツワモノがいるのですから――』と威勢を(心の中で)張っていた。

結果的に、待った。3分ほど。

スーツを着た爽やかなおじさまがツカツカと僕の方へ――ではなく2人の女の人の下へ向かってきた。


その時の会話を、僕は一生忘れないだろう。


『――ホントか?』

『えぇ、このパスポートも本物です』

『そうか……すぐに用意を初めて』

『はい』


おじさまは僕に爽やかな笑顔を浮かべ


「初めまして、このビルの施設長を勤めさせていただいております、Oと申します」

「…おー?」

「詳しいお話はあとで、とにかく着いてきてもらえますでしょうか?」

「あっ、はい」


僕はそう言われ、Oという爽やかなおじさまに着いていった。


あ、結論から言うと、シリアスな場面にはなりませんよ?なんかアメリカ映画みたいに秘密組織ガー的な展開ではなく、ただ淡々とおじさまに事情を説明し、契約書的な書類を書かされ、ビルの何処かにある一室で眠りにつきました。ただそれだけ。


まぁ、そんなこんなで僕はからおさらばする事になりました。さらば母よ。さらば父よ。よくも俺を置いて出ていきやがったな。


スマートフォンと、音楽プレイヤー、そして財布に入った全財産10万円を手に持ち、僕は眠るようにこの世から消え去った。

僕は、これが間違っているとはに来てからも思ってはいない。後から知ったのだが、というのは、リスクもある分、メリットが大きいイベントなんだとか。その時に『だから異世界モノが流行るのか!!!』と勝手に納得した。


じゃあ、異世界に行ってからの話をしようか

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僕が異世界に行った時の話 名城忠 @nashiro_tadashi

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