昔話


ただ何となく、本当になんとなく『異世界の行き方』を調べ、手順を知り、市役所で30代後半の女の人と死ぬほど長い会話と書類を書き、手に入れた一つの黒塗りの手帳。それが、僕が今いる世界から別の世界――いわゆる『異世界』で、僕と言う存在自体が生まれ変わる。それが不思議でしょうがなかった。


昔話をしたい。なにせこれはエッセイだから僕の思ったことや昔話を垂れ流していい場所だ。だから僕は昔話を語る。嫌というほど語る。多分このエピソード全てが昔話で埋まるくらいの勢いで書きたい。嫌なの?……まぁ書くけど。


――僕は昔から、想像が好きな少年だった。例えば好きな子に告白される想像。『直也君!好きです!付き合って!』なんて想像(妄想?)を幾度となくしたし、先生に怒られている時に『そういえば、テレビで面白いお笑い芸人がネタをやっていたなぁ。なんだっけ?『布団が吹っ飛んだと思ったら吹き飛んだ?こりゃまるでフキノトウだ?』だっけ?……今考えれば全く……いや、面白いな。……布団が……吹っ飛んだ……「ブフゥwww』って笑って先生にこっぴどく怒られた事もあった。


まぁ僕はいわゆる「変わり者」の少年で、暇があったら想像をしていた。いつの日だったか、僕は誰かにこう言われた『想像を続けるコツは?』

その時に、僕は頭を抱え、うーん、うーんと悩んだ。誰かは心配した様子で「…大丈夫ですか?」と僕に尋ねた。

僕はその時に、「ごめんなさい。おならのオノマトペは「ブッ!」なのか考えていた」と、なんとも下品でどうしょうもない答えを吐いた。あの時の誰かの顔は今でも思い出す。苦虫を噛んだとはこのことを言うのだろうか。そんな顔だった。


そんな風に、僕の生活の中では『想像』はとても重要なものだった。たとえそれが普通の人には「(何考えてんだこいつ?)」と思うようなことでも、それは僕にとっては必要不可欠な想像であるから。


……えっと、異世界の話だっけ。


やめていい?このエピソード。

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