第2話
intmain(void){for(・ω・)
{printf("ループ2回目");}return0;}
考え無しに動きすぎたらしい。
俺達は最初の世界と同じく、魔王城まで辿り着き、魔王に再戦を挑んだものの再び敗北した。変化は俺がリリス庇って死んだ事ぐらいである。
魔王つよい。肥溜めの中から抜け出しつつ、俺は魔王の強さを再認識しつつ再び過去に戻れた事実に感謝した。
念じると身体からポロリしてきた選定の剣が肥溜めに落ちるというトラブルはあったものの、それを綺麗にしているとリリスの一団がやってきてくれた。
選定の剣強奪の罪で捕まった俺だったが、再びリリスが取りなしてくれたため、何だかんだあってまた勇者になった。
さて、これからどうするか。
リリスと共に走りながら俺は考えていた。
他の皆は馬で移動中である。
俺もリリスも馬に乗ることが出来ないので、ダッシュ移動だ。貴族のリリスが乗れないのは最初の世界では意外だったが、本人が恥ずかしそうに「脚が足らないんです……」に言った事で得心がいった。
幸い、リリスは神の加護で馬並みに速い。そして馬以上に元気なので延々と走り続けても疲れる事が無い。小さな頃はそれで調子にのって走っていたところ、迷子になってワンワンと泣く事があったんだとか。
俺も走るのは速い。選定の剣が力を与えてくれているらしく、ただの村人である俺でもリリス並みに強くなる事が出来たのだ。
最も技量の面では、まだリリスに負けている。
それも二度の死と度重なった戦いの中で改善されつつあるらしい。経験は力。時を戻してくれる選定の剣には感謝が絶えない。
ともかく、魔王を倒す方法を考えないといけない。
おそらくそれは単純な話だ。
俺が強くなればいいだけの事。
強くなる事を意識して旅をしよう。
選定の剣の力を借りれば何度も過去に戻れるだろうから、記憶を引き継げる事を考えると強くなって死んで強くなって死んでを繰り返せば強くなる事は可能だ。
だが、正直死ぬのは嫌だ。
死ぬほど痛いので死ぬのは避けたい。
リリスに痛い想いをさせたくもない。
だから、今回で全て終わらせれるように努力しよう。
俺はもう絶対、過去に戻ったりしないからな。
intmain(void){for(・ω・)
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魔王つよい。
リリスに勝てるぐらいの技量を手に入れ、満を持して魔王戦への参加を控えてもらっていたリリスにも参加してもらったうえで魔王城行ったんだけど、やられた。
そこで、今回は言うの忘れてた件を伝える事にした。
俺が何度も世界をやり直している件をリリス達に伝えた。最初は信じてもらえなかったが、やり直しているうちに知ったリリス達の秘密や魔王軍の動向を当ててみせると信じてもらえた。
信じてもらえたので、「今回は修行に明け暮れよう!」と提案したんだが、リリスに大反対されてしまった。
人がどれだけ死んだところで俺は世界をやり直せるから「大丈夫(でぇじょうぶ)だ」言ったんだけど、リリスは「それは民を見捨てていい理由にはなりません」だってさ。
泣いて一人で魔王討伐に行こうとしたので、慌ててついていった。
仕方ないので魔王討伐と並行して強くなる事にした。
ただ、リリスに見損なわれたっぽい。
でもなー、魔王はホント強いよ?放っておいたら王国滅んでしまうとはいえ、今回も俺達は失敗すると思う。
リリスとの関係もやり直せるとはいえ、彼女が泣いている顔は見たくないから失敗を承知で討伐の旅を再会する事にした。
大丈夫(でぇじょうぶ)だ、選定の剣が何とかしてくれる。
intmain(void){for(・ε・)
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何とかしてくれたよ。
案の定、勇者と逝く魔王討伐隊は全滅した。旅の途上で会った強いヤツを仲間に入れたりしたんだけど、魔王には叶わなかったよ。
あと、そこらの荒くれ者はダメだな。リリスが薬盛られて犯されそうになってたから、一人殺した。助けてあげたのに、リリスは俺に怯えた目を見せてきた。
一つ賢くなった。今度からは上っ面を取り繕って動こう。
選定の剣が清算してくれるけどね。
しかし……となると、俺はリリスに何やっても、過去に戻れば聖人のように変わらぬ彼女を見る事が出来るんだよな。
…………。
いやいや……うん、そういうのいけないよな?
intmain(void){for(・ε・)
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相変わらず魔王つよい。
ただ、一番最初に対峙した頃に比べると段違いに戦えるようになった。
超強い見えない槍を飛ばしてくる魔法を使ってくるって状態から、現在は妖精の目薬を使えば実は飛んできてるの杭でしたってのがわかって俺とリリスは躱せるようにはなった。
ただ、魔王が自分の周りに張り巡らせた魔法の障壁という問題も見つかった。俺とリリスが同時に打ち込んでも、連続で打ち込んでもヒビ一つ入る様子が無かった。やっかりな魔法である。
そうこうしているうちにリリスが杭を避けそこねて死に、それを見て激高した俺が突っ込んで死んで過去(げんざい)に至る。
俺達は敗北した。
でも、勝ち筋は見えてきたように思う。
要は障壁を突破すればいいんだろう?
intmain(void){for(・ε・)
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障壁突破して負けてきた。
魔法を砕く破魔の剣を手に入れて、選定の剣との二刀流で挑んだところ魔法の障壁は砕く事が出来たんだよ。
始めて魔王に手傷負わせたものの、また障壁貼り直されて杭を避けきれず負けちゃったけどな。でも一歩前進。
破魔の剣の出処?
王国の将軍が持ってたんだよ。先祖代々に伝わる名剣って事で後生大事に飾ってたから、「貸してください」って頼んだんだ。
勇者という身分振りかざしたものの「やだ」って言われたから殺して奪ったよ。とりあえず障壁突破出来るか確かめたかったからさぁ。
おかげでリリスに追われる身分になっちゃったけど、俺もうリリスより強いから。軽くあしらって魔王討伐に行ってきた。リリスは泣いてたけど大丈夫、またやり直せばいい。
ただまあ、最終的に魔王を倒す時にはもっと上手くやる方法を考えないと。じゃなきゃ破魔の剣如きのためにリリスとの関係を終わらせなきゃいけないんだから。
選定の剣みたいに持ち越せればいいんだけどね。
リリス達がやってきたみたい。
さて、今回も頑張りますか。
突破口は見えたから、あとは二刀流に慣れていこう。
intmain(void){for(・ε・)
{printf("ループ31回目");}return0;}
ついに魔王を倒した。
倒したと思ったんだが、魔王城の床にひれ伏した魔王はゴボゴボと自分の身体を変化させ、人型からおぞましい化け物の姿になりやがった。
切っても切っても再生してキリがなくて、結局は逆に打ち倒された俺を前に魔王は嘲笑いながら「全て徒労だったな」ともう何度も聞いた台詞を改めて言ってきた。クソッ。
でも、人型の状態なら俺一人でも勝てるようになった。魔王が俺の事を舐めていて、自分の手で殺すために魔王城の中もあっさり通してくれるから、実質的には一対一の決闘だ。
もうリリスを危険に晒したくないから協力を断るようにしている。リリスが手伝ってくれれば魔王も完全に倒せるかもしれないが……勇者の俺一人で決着をつけてやりたい。
今回は情報収集に徹しよう。
魔王もまだまだ底が知れない。
なんか死体転がってる村を早々に後にする。何でこんなに人が死んでるんだったっけ? まあいいや。
リリスに会うのはお預けで移動しよう。
必要なものはその辺で適当にかっぱらっていく事にする。
intmain(void){for(・_・)
{printf("ループ34回目");}return0;}
魔法を覚えた。
肥溜めから出て直ぐに身体洗うのに便利。
intmain(void){for(・_・)
{printf("ループ43回目");}return0;}
サヨナラ破魔の剣。
魔王の障壁はこっちの魔法で干渉してこじ開ける事が可能になったので、破魔の剣が不要になった。毎回殺して奪うのも面倒なので、もうアレはいらない。
魔王にはまだ苦戦している。
再生能力に対してこっちの攻撃が追いついていないから、力押しだけで負けてしまっている状況だ。
奇襲して即死させる手はどうだ?
intmain(void){for(・_・)
{printf("ループ44回目");}return0;}
ダメだ、殺した時点で化け物に変化する。
あの再生能力を突破できない。
ただ、その厄介な再生能力を妨げる珠(たま)があるらしい。
珠があるのは大森林の奥に隠れ潜んでいる森人の集落のようだ。
何とか手に入れてくる。
手段は選ばない。
intmain(void){for(・_・)
{printf("ループ47回目");}return0;}
久しぶりに魔王以外に殺された。
森人の奴ら、人間様より長い耳を持っているくせにこっちの言うことは全然聞く様子が無い。「森人の秘宝を渡すわけにはいかない」だってさ。
現実を見てみろよ。
その秘宝があれば世界を滅ぼそうとしている魔王軍を倒す事が出来るかもしれないのに、最期の最期まで使わず後生大事に取っていても宝の持ち腐れだろうが。
実力行使したんだが、集団で抵抗されて殺されてしまった。
雑魚でも群れると強く感じる。
あんなヤツらに躓いているヒマは無い。
俺は、リリスに平和な世界をプレゼントするんだ。
intmain(void){for(・_・)
{printf("ループ52回目");}return0;}
今回も大森林に大火災を起こし、それに乗じて森人の集落を襲撃して秘宝の珠を奪ってやった。五人殺した。
秘宝の珠は確かに魔王に効果がある。
厄介な再生能力を抑える事が出来るから、奇襲で首を跳ねて珠を埋め込んでやっているのだが、再生能力を多少弱める効果しか無いようで殺しきれない。
多少弱める程度でも再生能力で躓いているので、珠は必要だ。
あとは魔王の再生能力を上回る力を手に入れればいい。
魔法の腕を磨こう。
intmain(void){for(・_・)
{printf("ループ80回目");}return0;}
届かない。
魔法だけじゃ、だめだ。
intmain(void){for(・_・)
{printf("ループ96回目");}return0;}
ここが古代人の遺跡の中心部か?
俺にちからを。
リリスのためのちからを。
intmain(void){for(・_)
{printf("ループ98回目");}return0;}
俺――いや、私は強くなった。
あの魔王を倒せるほどに。
選定の剣による強化と積み重ねた戦闘技術。
手指が吹き飛んでも試行錯誤して手に入れた魔法の力。
そして、古代人が残した超技術で更なる強さを手に入れた。
化物に近い容姿になってしまったが、些細な事だ。
超技術は一度手に入れれば選定の剣と同じく力を引き継げれるのは僥倖だった。これであの忌々しい古代人の遺跡に潜る必要が無くなる。
実際、魔王をあと一歩まで追い詰めた。
魔王があそこまで焦っている顔を見たのは前回が初だった。
だが、瀕死の魔王は「なかまを呼んだ」。
単体では私に劣る森人が集団の力で押し切ってきたように、魔王も魔物達の力を借りて集団で私を殺しきった。しかもアレは森人達とは比べ物にならない数と質の暴力だった。
今まで魔王と直接対決出来ていたのは、魔王が私を舐めていただけ。一対一なら勝てるようになったが、魔王城とその外に蠢く魔物達を相手取るには……まったく力が足りない。
助けがほしい。
リリスに会いたい。
リリス達がやってきた。
数年ぶりに見たような気がする。
兵士達が、刃を構えている。
「魔物だ!まだ一体残っているぞ!!」
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