祖母の死に涙する綾子。祖母の着物を虫干しする綾子の前に、夢使いが訊ねてきた。男は夢使いであると同時に養蚕教師であると名乗り、呉服チェーン店の店長である綾子は、彼の言動に惹かれていく。文中に、隠しようのない大人の色気が漂う。色気だけじゃない。清冽さ、人の生の奥深さが、染め物の糸が巧みに編みこまれるように物語をつづる。大人の一品。背筋が伸びる一作だ。