第2話天羽源、戦国に行く

ほいさ~、ほいさ~♪


 俺が目を開けると、そこには一面田んぼが広がっていた。


ほいさ~、ほいさ~♪


 そんな歌が聞こえてきた。

 そっちを見ると、和服を着た人たちが田植えをしているではないか。


 ん?田んぼ?おかしい。俺が住んでるのは、時代の最先端を行く東京だぞ。俺の家は、高層マンションの真ん中らへんだぞ。家に帰ってきてから、〈歌舞いてSENGOKU〉の天下統一モードで遊んでたんだ。夢だろか。


 いや、違うな。つねったら普通に痛い。ここはどこだよ~!


「小僧、何者だ。みょうちきりんな服を着おって。」

馬上から40代程度のおっさんが話しかけてきた。

「あ、あんたこそ、だ、誰だよ。」

「小僧よ、年上に対して敬意を払うということを知らぬのか?」

 なんか、ドラマで見る嫌な上司みたいなこと言いやがって。


「儂は、菅谷勝貞すげのやかつさだ。土浦城主にして、小田政治おだまさはる様の家臣である菅谷勝貞である。」

 土浦城?菅谷?小田政治?

 ま、まさか。不死鳥の如く戦った小田氏治の家臣、菅谷政貞すげのやまささだの父親の~!?


「し、失礼ですが、コスプレではないのですよね?」

「こ、こすぷれ?なんじゃそれは。こ、コホン。話を戻そう。小僧、何者だ?」

「は、はい。お、俺は、天野源あまのげんです。たぶん、今から450年以上先の未来から来ました。」


 俺の目の前にいる菅谷さんは、小田家の外様大名で、藤沢城主。そして、利根、小貝川の水軍を率いていたはずである。


「あの、菅谷さん?」

「未来から来た?ふざけるな。おぬし、儂のことを田舎者だから、京都みやこのことなど知らぬと馬鹿にしておるのだろう。」

「いえいえ、とんでもない。菅谷さんは、450年後に息子さんだけ有名になってます。俺みたいな歴史マニアじゃない限り、あなたが藤沢城主で利根、小貝川の水軍を率いている武将だなんて知りませんから。」

「何⁉儂のより政貞まささだの方が 有名になると申すか。 ならば、若や殿はどうじゃ。」


 この時代だから、

「えっと、氏治さんは不死鳥の如く小田城を取られては取り返す人ですが、愚将と呼ばれています。しかし、領民にとても好かれた殿様ということも伝わっているので、内政向きの人なのでしょう。有名度は、低いですね 。政治さんは、知っている人こそ氏治さんより少ないですが、 小田家の中でも名将として名高いです。」

「……ふ、フハハハハハ。良いことを聞いた。 お主を政治様に謁見させてやろう。」

 まじか。モノホンの戦国大名か。俺家臣とかになっちゃうのかな。んで、未来のこと知ってるから小田家を天下統一させちゃうのかな?

 やべ〜、テンション上がってきたぜ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺、小田家に仕官します。 @natakuatsyousetukaninarou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ