第6話 大団円? 大宴会!? 大乱闘!!
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ボクが調理したグリフォンの肉は、なんというか牛肉のコクと鶏肉のさっぱりさを合わせたような不思議な味わいがした。
ただし肉質はすんごく硬い。
食べてると、ガッチガチに固まった特大キャラメルを噛んでるみたいに顎が疲れてくる。
もっと時間を掛けて煮込み料理にするか、それか
赤鬼さんに断って1ブロック10キロ程度の塊肉を分けて貰った。
低温貯蔵庫に吊しておこう。
赤鬼さんの持ってきた
こんな酒、良くがぶ飲みできるなフリッツ六世さん。
「いけるではないかローレンス」
「はい美味いです」
「そーれしょう、そーれしょう。大変だったんだから。これから細かい破片を取り除くのは。アキロは感謝するし」
八醞を頭から被った河童小娘がトップギアで酔っ払い、何度も何度も同じ事を繰り返してる。
いい加減うるさい。
「ところで赤鬼どの、今日はどのような用件でお越しになられたのかな?」
「祝いじゃ~、祝い」
「祝い? 何の?」
「決まっておろう、お主の婚約祝いじゃよ」
「「婚約!!」」
琥珀さまと河童小娘がドロンとした怖い視線をボクに向けた。
「わらわの胸が好きというたは、嘘であったかや」
「むにぇ!?」
「暁人どのはあの日、わらわと
「へへ~んだ、アキロはワライをお嫁さんに選んだんだもん」
「何を言うか河童小娘」
「河童小娘らと~、ワライは絶対アンラより年上らかんな」
「ツルペタのくせに」
「そっちこそツルツルのくせに」
「つるつるはお互い様じゃ
「がっはっはっはっ。飲め、飲め」
赤鬼さんのどでかい掌が琥珀さまと河童小娘の頭を撫でた。
「「ふん」」
あ~ぁ、そっぽ向いちゃったよ。
「でも聴いてください、あれは誤解なんです。アンジェリカも
そう喚いたボクは、勢いでラム酒をラッパ飲みした。
「オオオオオオオオオオ、よきかな、よきかな。男よ、男よ」
ボトル半分ほど一気に飲んだのに酔えやしない。
どーなってんのボクの身体。
「祝いじゃ、祝い。祝いの酒じゃ」
バンバン
と、赤鬼さんが手を叩くと、どこからともなく
「娘じゃぁ、嫁じゃぁ」
「「「嫁」」」
「へっ」
照れたように笑った鬼の女の子が、その場に正座して三つ指をついた。
「待って、待って、待って。婚約祝いに来たんですよね。それなのに娘さんを嫁にだすって。ねえ、なんかおかしいと思わないの」
「男じゃぁ、男じゃぁ」
強い男は10人でも20人でも好きなだけ嫁を
話になんない。
「えっと、あっと、あのその」
「
「え、っと、君は普通に喋れるのね」
「はい。パパは余計な事を口にしないタイプですからああですが、ぼくは普通に喋れます」
――ぼくっ娘だ。
赤い肌に、銀色の髪をして、頭から2本の角を生やしたボクっ娘だ。
嘉藤が見たら狂喜乱舞しかねない。
「おーいローリー。この前来たとき、オレ携帯忘れてなかっ⋯⋯」
「
「ひいっ、ひぃっ、ヒィィィィィィィィ」
赤鬼さんを目の当たりに見た嘉藤が半狂乱の悲鳴を上げた。
「なに、らいじょうぶらの、この人?」
酒を飲みすぎて暑くなったのか、半裸になった河童小娘が嘉藤の眼の前で
「結婚してください」
瞬時に正気に戻った嘉藤が、河童小娘の前にひざまずい。
「待て、待て、待て、何考えてんの
「うるさい。いま大切なとこなんだ―― 一目会った時からオレの心はアナタのものです」
「ほえっ、えへへへへへへ」
「どうだアキロ、これかワライの魅力らろ」
「はいはい、分かったからお前もう飲むな」
頭のお皿にソーマを掛けた。
「お前っていうな、ワライの名前は⋯⋯」
「ローレンス・暁人」
「ウロコ女!!」
殺気走って刀を抜いた琥珀さまを、ボクに抱きついたアンジェリカがまじまじと見つめた。
「えっと、どなた?」
「わらわば
「え、妻?」
「違う、違う」
「違う⋯⋯」
大きく眼を見開いた琥珀さまが、力無くその場にうなだれた。
「ああああ、それも違う。まだって意味、まだなの、まだ何も始まってないの」
「ボクは何番目でも良いよ」
いい子だ稟。
体臭キッツいけど、後でお風呂に入れてあげよう。
台所洗剤あったかな。
「ワライの名前はね~」
「ローレンス・暁人。あなたのお友達って、みんな変わってるのね」
「そこに直れウロコ女成敗してくれる」
「やるか刃物女」
パッと間合いを取ったアンジェリカが構えを取った。
陸上でも素早いなアンジェリカ。
「やらいでか」
「わっわっ喧嘩だ、喧嘩だ。ボクも混ざる」
「来い、この鬼娘め二人まとめて成敗してくれる」
「ワライの名前はねぇぇえ!!」
「結婚してください」
「がっはっはっはっ。やれやれ」
「ローレンス。キャットフードはまだか」
もうどうとでもなれだ。
ボクは残りのラム酒を、一気に飲み干した。
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