第5話 「どうした?」


 ♠



 ボクがドアを開けると、素っ裸の河童小娘がボクに抱きついた。

 え!?

 なんで裸なの?

「恐い」

 恐い?

 何が!?

「獣、獣が布団の中にいる~」

 獣!?


 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン・・・


 と、河童小娘の心臓の鼓動がボクの胸に伝わって来る。

 心底脅えてるのが、それで分かった。

 ボクは慎重に布団を跳ね除けた。

 そこには河童小娘のパンツにじゃれつく、ミーたんの姿があった。

「や、恐い、助けてアキト」

「なんも恐くないって」

 ミーたんの襟首を掴んでつまみ上げた。

 つまみ上げられたミーたんは、執拗な程パンツにネコキックをに打ち込んでる。

「あ~、ダメダメ」

 パンツを引き剥がそうとするけど、ミーたんが爪を立てて離さない。

「もー、ミーたんめっ!!」

「ニャァァァァァァァ」

 って、お前の悲鳴の方がネコっぽい。

「や、恐い、どっかやって」

 ボクの胸に顔を埋めるようにして、ミーたんを見ないようにしてる。

 何か可愛いぞ、河童小娘。

「大丈夫だよ。ミーたんは引っ掻いたりしないから」

「ミーたん? ミーたんってなに?」

「あ~っと、え~っと、アメリアの事だよ」

「アメリア!! フリッツ六世を喰い殺そうとした魔獸アメリアがいるの!?」

 フリッツ六世さん・・・

 どんな尾鰭つけて吹聴してまわってんの?

「ミーたん。ほらパンツ離して」

「もう良い、上げる、上げるからどっか行って」

 河童小娘がそう言うので、パンツごとミーたんをケージに入れた。

 それまでパンツに掛かり切りになってたミーたんが、突然パンツを離して

「ミャー」

「吼えた!!」

 違う、鳴いたの。


 カタカタカタカタ・・・


 河童小娘が震えてる。

「もう大丈夫だって」

 そう優しく言ってやったんだけも、河童小娘はボクにすがりついたまま離れやしない。

 ぺったんこな胸を、ボクの腕に押しつけてる。

 ぺったんこなのに、やっぱり軟らかくて気持ちが良い。

 いやいや、河童で、生意気な小娘でも、れっきとした女の子だ。

 弱みにつけ込むの男らしくないぞ桐生・ローレンス・暁人。

「ほら離れて」

「やだ、恐いぃぃぃぃ」

 太股まで絡めて来た。


 おほっ!!


 琥珀様とは、また一味違った気持ちよさが・・・

 って、なんで琥珀様と比べてるの?

 琥珀様の太腿の感触なんて知らないだろう。


 河童小娘がグイグイと身体を押しつけてくる。

 全体的にしっとりしてて、少し筋肉質で、ちょっぴり体温が高い。

 なにこれ役得?

 これが河童小娘の役得!?


 ウワォ!!


 嘉藤に見られたら、確実に殺される。

 我が友よ、頼むから今は来てくれるな。

「もう大丈夫だから、ほらアメリアは檻に入れたし」

「ミャー」

「ニャァァァァァァァ」

 らちがあかない。



 ♠


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