第4話 シクシク泣いてた河童小娘が、
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「証拠見せて」
と、ガバッと起きあがり恐い眼でボクを睨んだ。
嘘をついたら、ぶっ殺してやる。
って、緑色の瞳がいってる。
「しょうがないな」
免許証を出してテーブルに置いた。
どこから取り出したのか、スマートフォンみたいなモノで免許証を見てる。
あ、立体映像だ。
凄い技術持ってるな河童。
空中に奇妙な文字が浮かんでる。
多分、河童文字だ。
あ~、読めちゃう。
何故か、読めちゃう。
嫌でも、読めちゃう。
桐生・ローレンス・暁人って、確かに書いてあるよ。
「ああああ、これがローレンス様なの~」
何を想像して、ここまで来たんだよ。
勝手な想像膨らませて、実物見て勝手に幻滅するなんて失礼だよね。
「それ。アタイにも飲ませろ」
水掻きのある手でパロマを指差した。
「馬鹿言うな。子供に酒なんか飲ませられるか」
「子供じゃねえし」
いや、ツルペタだし、生えて無いし。
どう高く見積もっても小学校4・5年生だから、君。
「ダメだ。子供にしか見えない」
「子供じゃ無いし、いいからよこせ。こんなの飲まないとやってらんないし」
テーブルに飛び乗った河童小娘が、ボクの手からパロマを分捕った。
メモ:河童はお酒も頭の皿で飲む。
「ヒック。こんなのやってらんない」
トップギアで呂律が回らなくなった河童小娘が、据わった目つきでボクを見た。
「あ~、も~う。たった一口で酔っ払ってるじゃないか」
「うるは~い、こんなの飲まなきゃやってらんないんだよ。アタイの王子様が、こんな意地悪で、スケベな変態だったなんて、ひろいじゃないか」
王子様って、なんなんだ?
どーなってだ!?
フリッツ六世さん、出て来て責任取ってよ。
「ほら、ソーマ飲んで落ち着けってば」
ボクは、河童小娘の頭にソーマを掛けた。
「やだ!? なにすんのエッチ」
水掻きでひっぱたかれた。
かなり痛い。
「女の子の大切な部分に、勝手に触らないでよ」
メモ:河童の皿は、かなりセンシティブな部分らしい。当たり前か。
「本と信じらんない。お風呂覗くし、お皿触るし。アキトのスケベ、変態、馬鹿ー!!」
久しぶりに暁人って呼ばれた。
罵声だけど、ちょっぴり嬉しい。
「覗いてねえって、あれは事故だろう」
「嘘だ。アタイの裸見て喜んでたくせに」
しまった、見透かされてる。
「ツルペタのロリ河童の裸見て何が楽しんだよ」
「ロリ河童だとぉぉぉぉぉ!! ロリってなに?」
『ロリは、世界共通語で可愛いって意味なんだ。異論は認めない!!』
そう豪語した嘉藤の顔が一瞬浮かんで、すぐに消えた。
我が友よ、お前は真正だよな。
「可愛いって、意味だよ」
「かわっ……」
うわぉ!!
河童小娘の顔が濃い緑色に変わった。
これって照れてるのか?
「か、……いまさらカワイいなんて言ったって、許さないんだからね」
やっぱり照れてる。
メモ:河童は照れると、顔を緑にする。
「も、もう寝るし」
サッと立ち上がって、ゲストルームに向かった。
「一番端の二部屋以外、好きに使えよ」
ずらっと並んだ部屋の一番手前の二部屋は、それぞれ琥珀様とフリッツ六世さん専用にしてる。
残りの部屋も、グレードは変わらないし、部屋の規模も一緒だ。
「アンタの部屋は?」
ボクの部屋?
「ボクの部屋に何の用があるんだよ」
「いいから」
焦るように訊くから、仕方なく指差した。
「あれね」
と、聞き返した河童小娘は、わざわざ一番遠い部屋を選んでドアノブに手を掛けた。
あ~、もう、知ったもんか。
「夜這いしないでよね」
「するもんか、馬鹿」
べぇ~
と、舌を出した。
なんだ、舌はピンク色なんだ。
バタンと、わざとらしく音を立てて扉を閉めた。
なんだあれ。
本当に腹が立つな。
「ニャァァァァァァァ」
悲鳴だ。
なんだ!?
ボクは大急ぎで扉を開けた。
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