第2話 1日で2度も死にかけるなんて、


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 何か変なモノに取り憑かれてるに違いないと考えたボクは、バスルームで全身に塩を擦り込み、冷水のシャワーで洗い流した。

 考えるまでもなく、この部屋に引っ越してから変な事ばかり起きてる。

 湯船に肩まで浸かって、冷えた身体を温めた。

 かなり高めの温度に設定してるのに、ま~だ震えが止まらない。

 超高層ビルの屋上から、危うく転落する所だったんだ。

 しばらくトラウマになると想う。


 あの河童小娘めぇぇぇ。


 バスルームから出たボクを、上目遣いのジト眼で河童小娘が睨んでいた。

 今はちゃんと服を着てる。

 しばらく前にネットで騒がれた《童貞を殺すセーター》に似た、背中の大きく開いた服に、ローライズのパンツを履いてる。

 どっちも背中の甲羅に引っ掛からない様なデザインのモノだ。

 なる程、あれは河童用の服だったのか。

 何となく感心したボクは、冷蔵庫からソーマを出してキャップを開いた。

「それ」

 一口飲んだ所で、河童小娘が声を掛けて来た。

「それアタイにもちょうだい」

「あ~ん?」

 ボクは半分ほど飲んだソーマを河童小娘に渡した。

「……これ。飲みかけじゃん」

 不服そうにボトルを振った。

「嫌なら飲むな」

 ボクは憮然と言い返した。

「アタイはお客さんよ」

「お客さんは、こんな時間にやって来たりしないし、いきなりプールで泳いだりしないの」

 柱時計の針は、深夜の3時を刺してる。

 真夜中に突然やって来て、ボクをビルから突き落とそうとしたり、何なんだよ、この河童小娘は。

 琥珀様も、フリッツ六世さんもちゃんと陽のある内にやって来たぞ。

 河童ってのは、一般常識が無いのか?

「それは悪いと想ったけど。仕方ないじゃん。次元嵐のせいでゲートが閉鎖されちゃったんだし」

 次元嵐ってなによ?

 ゲートってのは多分別世界と、こちらの世界をつないでる門か扉の事だと想う。

 でも、ペントハウスのどこを探しても、そんなモノ見当たらないんだよな。


 チャポ、チャポ、


 と、ボトルを振った河童小娘が頭頂部の髪の毛を引っ張った。

「うわっ!!」

 グロっ!!

 頭の皮が剥がれた・・・

 って、違う。

 これなんだ。

 テーブルの上に置かれた、それをしげしげと見た。

 髪の毛が付いてる。

 河童小娘のおかっぱ頭の頭頂部を模したカツラ?

 いや帽子だこれ。

「なに勝手に触ってんのよ」

 頭頂部がツルンと光ってる。

「皿か!?」

「そうだよ。河童に皿があるのは当たり前でしょ」

 ソーマを頭の皿に注いだ。

 凄い、


 するするする~


 っと、吸い込まれて行く。

 一滴も髪の毛に掛かってない。


 メモ:河童は頭の皿で水を飲む。


 明かりの下で見ると、河童小娘の顔つきが良く分かる。

 目つき以外は、結構可愛い顔つきしてる。

 緑色した肌のコントラストは、何というか日焼けのようにも見えた。

 身体のアウトライン。

 例えば背中や肩、腕なんかは濃い緑色をしてるけど、これは服の外に出てる部分だからだろう。

 月明かりの下で見た時、胸や腹、内腿が薄く思えたのは、やっぱり服で隠してる部分だからじゃないかな。



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