202号室のカップラーメン

そらすけ

カップラーメンの中には

1-1世界に一つのカップラーメン

カップラーメン。

日本人で食べたことがないという人はいないほど国民に愛されているインスタント食品。


そんなカップラーメンを今日も食べようと、のそのそ歩いてきた一人の男性がいた。

彼は翔。

大学を二浪して、今はバイトで生計を立てている。

身長は普通より少し高いくらいでやや太り気味。

家にいるからろくに運動もしていないのだろう。

今年こそは。と有名大学を狙っていたのだが、いまいち勉学の神様に好かれていないらしく浪人を2回経験してしまった。


そんな彼は、コンビニに入りいつものように週刊誌をパラパラめくり、インスタント食品が置いてあるコーナーに入った。

すると、「新商品!損はさせない!カップラーメン!」というありきたりな掲示の下に残り一つだけカップラーメンが置いてあった。

よっぽど人気なのか。と思い試しに買うことにした。

これが彼の人生を大きく変えることになるとは誰も知らなかった。


彼はアパートの202号室にはいり、靴を脱いだら高速でやかんに水を入れて火にかけた。

お湯がわく間、翔はお昼のワイドショーを見ながらカップラーメンの蓋を開けた。

カップラーメンの中には手のひらサイズの小さな少女がストリートコーデをしておやじ座りしていた。

だが、翔はテレビを見ているので気づきもしなかった。


そこで、少女は翔に話しかける。

「おーい!くそデブ!ここから出せ!」

翔は視線をカップラーメンに移す。

「は?」

翔は夢でも見てるのかと口を開けたままだったが、頬をつねって現実ということを確認した瞬間、大声で悲鳴をあげた。

「でぶ!!!だまれ!!!」

少女はかなりのディスりっぷりでつっこむ。

「お前…誰?」

翔は状況が掴めないらしく、寝ぼけたような声をだしながら聞いた。


「自分から名乗れや!まー、いい。わたしは…」

彼女は世界に一つだけのカップラーメンから生まれたのだった。

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202号室のカップラーメン そらすけ @hoshisora

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