3.



 気づいて取り出せば、新調したばかりのスマートフォンがメールの新着を告げていた。画面に触れてチェックすると案の定、それは妹からであった。



 >> 気をつけて



 一言、短いメッセージが表示された。


 気をつけて……?

 何のことだろうか。

 少しく思考を巡らせるも、思い当たることはない。



                  *



 妹は何を言いたいのか。

 この短い文章から何を警告しようとしたのか。

 そして今この時間、中学校はたしか授業中ではなかったか……。


 そんな疑問を挟む間もなく再び振動と電子音がして、次の新着がある。



 >> 気をつけて

 >> 上↑↑



「……上?」


 ――と、見上げた瞬間、眼界が黒で塗りつぶされた。



                  *


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