10年後

ノーバディ

第1話

ちゅど〜〜〜〜ん!

な、なんだなんだ!?

落雷の様な衝撃とともにそいつは現れた。

「お~~っ!懐かしいな~~。これこれ!カップ焼きそばショートケーキ味、なんで食えなかったんだっけな~」

そいつは出来立てのカップ焼きそばショートケーキ味を全部たいらげた後再びお湯を沸かし始めた。

「ぷは~不味ぃ〜〜。なんでこんなん買っちゃったかな~~」

そいつは勝手にコーヒーを出しいれている。

その男が現れてから6分43秒後、俺はやっとのことで言葉をしぼり出した。

「あんた誰?」


ちゃぶ台とノートパソコンと最低限の衣類しかない俺の部屋、一応鍵くらいはかけてある。

そこに突然直径1メートル程の真っ黒な球体が現れ、シャボン玉のように弾けたかと思うと中から全裸の男が現れ、湯切りしてシーズニングをふりかけたばかりのカップ焼きそばを3分29秒程で全部食べてしまえば、大抵の人はこんな反応になると思う。


「あはは自己紹介が遅れたな。俺はお前だ。10年後のお前」

うわ~~、何となく想像してたけどやっぱりそうくるか!

「詳しい話は後だ。とりあえずパンツを貸してくれ、2枚しか無いのは知ってる。洗濯中か?」

なんだかとてもヤダな、見ず知らずの俺にパンツを貸すの。

しかし見ず知らずの俺が全裸でくつろいでるのはもっとヤだ。仕方ない貸してやるか、Tシャツとズボンもサービスだ。


「ん~、とりあえず成功だな。10年前のこの部屋に到着だ。やはり装置は持ってくる事は出来なかったか」

いやいやいやいや、おっさん1人で納得してんじゃねえ。

「で、お前もとっとと出てって欲しいだろ?」

1人で話を進めるな!確かにその通りだが、嫌な予感しかしないぞ。

「俺もあの時はそうだった」

なんの話だ。

「それでだ。俺が未来に帰るにはお前の協力が必要だ」

全力で断る!!

「いいのか?俺が何もせずここにいると食費が2倍かかるぞ」

それはヤダ、てか放り出す。

「俺に協力すれば食うに困らんだけの生活費は保証する。何たって俺はこれからの10年を知ってるんだからな。人生経験が違う」

なんのこっちゃ?証拠を見せろ。

「疑ぐり深いな~それでも俺か?

そうだ確かあの日、つまり今日このタイミングで地震が起きたはず。震度4だったかな」

・・・何言ってんだ?

その時スマホがぴーぴー鳴きだした。

地震警報だ。数秒後部屋が揺れた。

テレビに地震速報が流れた。震度4。

・・・・・あああ!ちくしょお。


「話を戻すぞ。要はお前にタイムマシンを作って貰いたいんだ」

また無茶な事を。

「作り方は分かってる。俺が教えてやる。

2人で作るんだ」

やなこった。

「協力しないとお前の秘密をチヒロにバラすぞ」

チヒロさんは関係ないだろ!

「関係あるさ、俺の嫁さんだ」

・・・・・?何があった、俺!?

「協力してくれたら協力してやるぞ。でなきゃ結婚出来ない」

チヒロさんと結婚?チヒロさんとあんな事やこんなこと?チヒロさんとむふふ?

し、仕方ないな。40近い見知らぬ俺を無一文で放り出すのも忍びない。是非協力してもら……協力してやろう。

「じゃあ、早速材料集めからだ」

ちなみに完成予定は?

「10年後だ」

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10年後 ノーバディ @bamboo_4

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