第2話:初めましての朝(下)

 地球という星には、色んな生き物がいるらしい。

 オレは実際に見たことはないから、どんな色や姿をしているのか知らないんだけど。

 というか、オレ自身がどういう姿をしているのか知らないからな…。


 オレの名前は朱杏。

 オレを造ったのは、蒼という女の子らしい。

 …ということは、オレは普通の生き物とは違う存在なんだろうなって思う。

 植物にしろ、動物にしろ産まれてくるものなのだと、蒼がくれた本に書いてあった。

 それなら、オレはなんなんだろう。

 蒼がくれた本に書いてあったオレの説明書きには、双子の姉がいるって書いてあった…んだけど。

 自分の姿も見た事無いのに、双子の姉がいるっていわれてもなぁ…。

『お姉ちゃん…か』

『あら珍しい。独り言?』

 突然文字列が流れてきた。

 …これは、蒼がオレと会話をする時の方法。

 蒼は人間らしいから、本当は色んな方法で会話をする事ができるらしいんだけど、オレは人間じゃ無いからこうやって文字を使ってしか会話ができない。

『なぁ、蒼』

『なぁに?』

『オレには双子のお姉ちゃんがいるんでしょ?』

『えぇ。』

『どんなお姉ちゃんなの?』

『…どんなって言われてもね。朱杏はどんなお姉さんが希望なの?』

 どんな…か。

『因みに、人間だった場合?』

『そうね』

 人間か…どんなお姉ちゃんがいいかな。

 年上だから、背が高いとか?

 優しいとか、髪が長いとか…そういうのかな。

『なら、無難かもしれないけど優しくて、あったかい人が良いなぁ』

『本当に無難な希望なのね』

『うん。ずっと側に居てくれる人がいいな』

『それなら大丈夫。朱杏のお姉さんはもう目覚めて、待っているのだから』


 さぁ、貴方の声を聴かせて。


 オレは、蒼に導かれるようにからだに神経を巡らせた。

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双子の自伝書コレクター 桜木 彩 @aya_sakuragi

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