● 無題3

 まるで涙のような君の手を、私はきっと忘れない。あの世界で、君の浅い温度だけが確かだった。



 死神に似た微睡みの呼吸を繰り返す私に、君が降らせたやわい笑みはかそけさだ。



 静かに透明な青色へ溶けた君の言葉を、私はいつか忘れてしまうだとか、うそぶいた音が不確定な真実なのを、本当は誰もが知っていたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コトノハ @fi_na

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ