物語の終わりに毎回登場する展示物の解説が書かれていますが、この解説文だけでも読む価値があります! もちろん、物語そのものの魅力があるからこそ、解説文がより引き立ち引き込まれるのですが、キャラクターたちだけでなく展示物とその文章力にも魅了されてください。
魔王を封印した絵画、エルフの工芸品など、ロマン溢れる異世界のアイテムが現代の博物館に収蔵されているというアイデアが面白い。アイテムの文化的背景や異世界と現実世界の交流とそれがもたらした影響が、しっかり描写されているのも良かったです。この設定を使って、ホラーからほのぼのした話まで色々な物語が書けそうで、話が広がりそうな魅力があります。長編にもできそうな、短編にしておくには惜しいと思わせる作品でした!そして、キリカさんが可愛い。
博物館にいわくつきの品が展示されていたら?それが暴走しそうになったら?そういうことが起こらないために働くのが、この作品の「学芸員」です。瀬川貴次氏の「闇に歌えば」(マイナーな作品で申し訳ない)を夢中で読んでいた私にはたまらない作品です。長編にもできそうな物語ですが、このままでも十分楽しいです。