終わり

もうすぐ五時になってしまう。まだ曖昧な記憶だが必死に約束の場所を探す。

「確かこの辺だったはずだが。あっ、」

約束の場所に彼女はたっていた。

『こんな形の約束になってごめんね。紫暮君。ここに咲く花は何だか分かった?』

花言葉を調べてた時ずっと頭の中にあった花。何故かずっと頭に引っかかっていた。それが今分かった俺の名前と彼女の名前をたすと答えはでる。

「紫苑。」

俺がそういうと彼女はそっと微笑み

『最後のプレゼントちょっと早い季節だけどせっかくだから、一緒に見よう。』

とせつなそうに言った。

そして紫苑が一面に咲いた。五時のチャイムが鳴る。すると彼女がどんどん薄くなっていく。俺はまだ伝えたいことがある。きえるな!

「俺は約束を守れなかった。結局、夢に向かって頑張らなかった。いつも逃げてた。けれど梨苑が俺に花言葉を送ってくれて頑張ろうと少しずつ思えた。貴方は俺の『希望』です。ありがとう。」

『私の二番目に好きって言った花言葉覚えてるかな?美しい変化っていうんだよ。紫暮君は途中でつまずいたかもしれない。けれど今は『美しく変化』してるよ。もう、てきとうに生きないで、いつか終わっちゃう人生を大切にして。ありがとう。さようなら。私が最後に贈る花言葉は、紫苑だよ。その中でも、』


「『貴方を…』」


俺と彼女の声がかさなった。そしてチャイムが鳴り終わった。今まで見ていた光景が幻だったかのように紫苑と共に彼女は消えた。さっきまで彼女がいた場所に封筒が落ちたいた。

そこには、


頑張れ、あの時のわたしには夢と願い事がひとつずつありました。結局夢は叶いませんでした。けれど願いは、今から叶えます。


『あなたが好きでした。』


貴方に伝えることができてよかったです。この夏の間だけでも貴方に会えてよかったです。

トルコキキョウありがとう。

と書いてあった。


涙が溢れてくる、俺も梨苑が好きでした。



次の日、大学に行くのを許してもらったことと、竹内さんと付き合うことになったという報告を荷物を取りに来た井上から受けた。



俺は植物についてもっと知りたいと思い、図々しいかもしれないが井上の父さんにアルバイトとして雇って欲しいといったら喜んでもらえた。どうやら俺は昔、毎日来ていたらしい。


もう毎日をただ何もせず生きて行くのはやめた。明日たとえ命を落としたとしても『一生懸命、生きれた』と胸をはって言えるようになりたい。それがたとえ綺麗事だとしても。



彼女が贈ってくれた花言葉はどれも俺の宝物です。


この花言葉たちをありがとう。


俺にも夢ができました。




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夢 花言葉で伝えたい 岡本 想夜 @suzuranran

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