第7話

いつの間にか寝ていたらしい。たけどきっと今の夢は本当の事だ。まず井上に謝りに行かなくては。井上はずっと悩んで俺のために言わないでくれたんだから。


俺は植物園まで走った。普段なかなか運動しないのですぐに疲れる。けれど早くいかなくては。植物園についた。植物園の前に井上と井上の父さんらしき人がいる。どうやら揉めている。声を掛けていいか分からないけど声をかけるしかない。自己中かもしれない許してもらえないかもしれないけど、謝りたい。

「井上!」

俺が叫ぶと、驚いたようにこちらを見た。

「さっきはごめん。許してくれなんて言わない。本当にごめんな。井上の父さんもお話中にすみません。そしてお願いがあります井上は大学に行くために必死に勉強してました。どうか大学に行くことを許してあげてください。」

俺は頭を下げた。

「小本、俺もごめんな。これからもよろしくな。それに父さんに言ってくれてありがと、でも、もういいよ。」

井上はそう言って俺を許してくれた。だけど

「諦めるな!いつも一生懸命だったお前が!俺に植物についての面白さを教えてくれたり、確かにお前は植物園館長の息子かもしれない。けど自由な事する資格はあるだろ!」

俺はすみませんと井上の父さんに謝ろうとしたが

「お前はいい友達をもったな。」

井上に向かってそう言った。そして俺を見て

「紫暮君、君は昔と変わらず、一生懸命で熱いな。いや、今はそれ以上に熱くなっている。覚えてないかもしれないが梨苑君とよく来てくれていたな。私は息子に押し付けすぎてたのかもしれない。」

俺はおどろいた。まさか昔、この植物園に来てたとは。それに一生懸命で熱いなんて、今の俺はそんな風になったのか?いや、戻れたのか?俺は彼女に逢いに行ってもいいのではないかと思えた。成長はしてないかもしれないけれど、謝ることはできる。そう思うと早く彼女に逢いたくなった。彼女のもとにむかわなくては。俺はそっと二人から離れた。二人は楽しそうに話し込んでる。そして俺は彼女との約束の場所に向かった。


答えが見つかった。



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