第6話
『…くんこれあげる。栞だよ!』
『この花はダリア。色んな種類の形があるんだよ。これは何層にも花弁が重なってるから…』
「わぁ!…夢か。」
そういえば俺、栞貰ったことあった気がする。それにあの少女昔どこかであったことがあるような。けどあの男の子は誰だ?まぁ夢だし関係ないと思うけど、何か忘れていることがあるきがする。とりあえず今日は、昨日もらった花調べに行くか。花は枯れないように押し花にしようとしているため昨日のうちに写真を撮って置いたのだ。にしても最初だけわざわざ栞になってたよな。そういえば昔誰かから栞もらったような気も。それかだんだんめんどくさくなって生花にしたのか?そんなことを考えているうちにいつもの図書館についていた。
「えっと、この花はダリアか。色ごとに花言葉が違って、この白いのは『感謝』と『豊な愛情」か。何々ダリアは色んな種類の形があり?」
『色んな種類の形があるんだよ』夢に出て来た少女が言ってたのはこの花か?
とりあえず今週も図書館に通うか。
「…くん、知ってた?カエデにも花言葉はあるんだよ。何だと思う?一つ目が『大切な思い出』二つ目が『美しい…』これが二番目に好きな花言葉」
「またあの夢。」
あの二人は誰だ?それにカエデの花言葉って何だ?調べに行きたい。だが今日はダリアを貰ってからちょうど一週間。俺は何の花を贈るかまだ決められてないのだ。とりあえず花屋をまわるしかない。そう思った時リビングから井上の大声が聞こえた。
「わぁ!」
走っていってみると自分の荷物に埋もれている井上がいた。
「何やってんだ?」
「それが荷物を引っ張ったところ…」
どうやら荷物を無理やり引っ張ったら色んなものがでてきてしまったらしい。とりあえずこの荷物を
「片付けるぞ。」
「サンキュー。小本!」
朝っぱらから何やってんだか。まぁ緊張してるんだろうな。もう一度はなし合うの。とにかく、早く片付けてしまわないと花屋をまわる時間が無くなる。何て思っていると何故かいつもポストの上に置いてある封筒が落ちてた。封筒に俺の名も書かれている。多分井上の荷物に入ってたんだろうけどなぜ?まさか井上が今まで置いてたのか?そういえばあの時、俺が「ポストに置いてあった」
っていった時、井上は何故かポストの上にあったことを当てていた。たまたまかもしれないし、理由があったのかもしれない。けど問い詰めなければ気が済まなかった。
「なぁ、井上これは何だ?今までお前が置いてたんだろう。」
井上は早口で
「たまたまだよ。たまたま。」
といってきた。あからさまに焦っているのに何も知らないような口ぶりで言ってきてさらに怒りが湧いてきた。
「じゃあ何で持ってるんだよ!それとも俺を見て面白がってたのか?毎週ポストの上に置いてあるのを楽しみにしていたのを!」
「…。」
井上は何も言わない。
「答えろ!」
「頼まれたんだ、ある少女に。これを渡しといてくれって。あの日学校が終わった後そう言われて、でも小本、先に帰っただろう?だからとりあえずわかりやすいところにと思って。そしたら小本誰からか分からないけど嬉しそうにしてたから。本当にごめんな。」
井上が話した内容が正しいかは分からない。
「一人にしてくれ。」
「分かった。」
とにかく一人になりたかった。どうすればいいのか分からなかった。逃げ出したかった。
どうして?何で?分からない。分からない。大切?好き?そう感じてしまう人。もう何もわからない。けど見つけたい。貴方のことを。
「どうして教えてくれなかったの!」
だれかの声が聞こえる。幼い子どもの声だ。
「だって紫暮に言ったら悲しむでしょ、母さんたちはあえて言わなかったんだよ。」
どうやら先ほどの子どもの声は俺らしい。
「知らなかった方がもっと悲しいよ!約束したんだよ!将来の夢がなかった俺に夢を与えてくれたんだよ!梨苑は!なのに何で死んじゃったの。約束したのに…。」
そうだ、いつも花についてたくさん教えてくれた甲高 梨苑。
『思い出した?紫暮君?あの後、紫暮君は泣きながら道路に飛び出して交通事故にあった。運良く助かったけど記憶が抜けていた。ごめんね、でも約束は守る。五時までしかまてないけれど…。四週間しかいれないっていうルールだったから。じゃあ、約束の場所で待ってるよ。そしたらあの時の答え合わせしよう!』
やっと思い出せた。俺の『希望』だった人。記憶がなくても心の奥深くにはいた人。
ごめんなさい。俺が約束守れなかった。
『夢に向かって頑張ろう。』
って約束守れなかった。
それでも会いに行っていいですか?
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