第5話
俺は次の日から花言葉について調べ始めた。何故やる気になったのか分からないがただ、花言葉をくれている得体の知れない誰かに俺からも花言葉をあげたかった。毎日毎日図書館に通い、色んな花言葉の本を読み漁った。正直色んな花言葉や植物について知るのは楽しかった。そして何故かいくつか覚えのある花言葉があった。俺は花言葉を覚えたことはないはず。けれど何故か懐かしい気持ちになる。俺は何を忘れてるんだ?
セイダカアワダチソウを貰ってから一週間後の朝、俺は花屋にいた。もちろん花を買うためだ。俺が買うのは紫色のトルコキキョウ、花言葉は『希望』だ。選んだのに特に理由はないがこの言葉を贈りたくなったのだ。あまり売っているお店がなかったので、買って帰ってきた頃にはもうすでに十三時頃になっていた。俺は急いで封筒に入れ糊付けをしてポストの上に置いた。
そしてその日の夕方、俺の封筒は無くなり変わりに新しい封筒が置いてあった。封を切って中を取り出すと中には白の花弁が何層にもなっている華やかな花が入っていた。その花を眺めていると井上が部屋に入って来た。
「へー、今日の花は「言うな!」」
井上はびっくりしながら俺のことを見た。俺は居心地が悪くなり目をそらしながら、訳を話した。
「自分で調べたいんだよ。最近さ、植物について調べるの結構好きでさ。ごめんな。」
「ふーん。何か小本が本気なところ始めてみたかも。お前昔はそんな感じでいつも一生懸命だったんだってな。」
俺は井上の言った言葉に疑問を覚えた。
「なぁ俺が一生懸命だったって誰が言ってた?俺昔のことあんまり記憶なくて。」
「わっ忘れた。おれ腹痛いから寝るな。」
井上は俺が質問した途端動揺していた。俺は昔何かあったんだ。多分井上に会うずっと前に。思い出したい。逃げたくない。とりあえず明日この花を調べて見よう。そう思いながら眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます