第5話 撮影
『ヘッドの総意以外で、アドの支配下の将来に変化を及ぼすような手段を用いてはならない』
銀河”箱庭”でやってはいけないことがある。それはヘッドが守るべきこととイコール。ヘッドの一員であるドルとマズを身体に同化させてる
このことは
状況を撮影するだけしかできないという事実は、ドル達の力を用いて元地球人の転生者を助けることはできないということ。多少はできることはあるかもしれない。でも転生者を別の銀河……例えば地球へ移動させられない。
可能な助力をしてあげられないのは精神に負担がかかる。
その上、現在、世界の平定しつつある元地球人の転生者が、この先どうなるかを知っていればなおさら複雑な気持ちになる。元地球人でも今はこの世界の住人だから、おいそれとは助力できない。
銀河には数千万以上の星があり、その一つの星で元地球人が異能を発揮して戦っている。剣を振るい、魔法を放ち、敵の攻撃を受け流し、そして耐えつつダメージを与えている。
カメラを手にその様子をファインダー越しに観ている
口が渇き、カメラ握る手に力が入る。
切っ先鋭い剣が、クリーチャーの肉にかすり、グサッと刺さり、ザッと切られるたびに血が噴く。魔法で焼かれた肉の匂いが鼻をつく。うめき声や怒声をあげて、牙をむきだし腕を振り回すクリーチャーの猛々しい空気が、
「元地球人だからというわけじゃないが、人が傷つく様子を黙って見ているのはきついな……」
ヘッドの力で
そうであっても、猛り狂うクリーチャーが近づくと身が強ばるし、手は汗ばむ。目の前で戦う人の誰かが傷ついても同じだ。
そうこうしているうちに、敵の親玉らしきクリーチャーは倒され、元地球人とその仲間が声を上げて勝利を喜んでいる。
「姉さん、どうする? ドルが言ってたように、インタビューする? 」
「そうしたほうが良いのかもしれないけれど、私達が気安く話して良いとは思わないわ。ここは命をかけた者達だけが言葉を交わせるところ。私達にはその資格はないわね。ドルとマズもそれでいいわね? 」
――君達の決断に従おう。
ドルがそう答え、マズも同意している考えを伝えてきた。
「じゃ、予定通り、地球に存在しない植物と鉱物を採取して戻ればいいわね? 」
「ああ、そうしよう、姉さん。血なまぐさいこの場は今の俺にはきついよ」
勝利に沸く人々を残し、戦場だった城から
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