新メンバー

ついに放課後になった。

俺は教室で待機、春野先輩はまだ来ていなく、千尋先生は教頭先生に呼ばれてどこかに行ってしまった。

暇な俺は外を見ながら少し仮眠をとろうと思った。

昨日はあのテンションだった為、眠れなかったのだ。そして10分程、仮眠とっていたら急に声がして一瞬で目が覚めた。


「こんにちは、荒川くん」


そこには春野先輩がいた。

身長は高く一つ縛りの赤い髪と冷徹な瞳、可愛いというよりかは美しいという表現の方が似合っていた。


「こんにちは、春野先輩」


「随分眠そうね、昨日は発情でもして眠れなかったのかしら」


「そ、そんなわけないじゃないですか」


「冗談よ、そんな人だと知っていたら部

屋なんて貸りないわ」


「なんて冗談を...!」


おそろしい冗談をいう人だ。驚きのあまり動揺してしまった。


「じゃあ家に案内しますね」


そうして春野先輩と教室を出て、それから校門で待っていた神崎と合流して三人で家までいった。


「あなたこんなに大きい家で一人暮らしなのね、羨ましいわ」


「掃除が大変ですよ、ここが春野先輩の部屋です。自由に使ってください」


「ありがとう、荒川くん。ところであなたの夢ってラノベ作家なのよね?」


「ええ、まあ一応は...」


「じゃあこれから書いたら持ってきてちょうだい、二人で読み合いましょう」


確かにそれはいい案だ。

やはり一人では誤字脱字には気づきにくいし、感想を聞ければ内容ももっと良いものになる。


「分かりました、よろしくお願いします」


そうして春野先輩とも仲良くなり、今日のサークル活動は終わった。

しかしラノベを書けと言われても、なかなかテーマが決まらない。

まずジャンルは「ほのぼのラブコメ」だ。

最近は異世界系が多くの賞をとっているが、自分の好きなジャンルでもあるし、自分が読んだほとんどのラノベがほのぼのラブコメなので、そちらの方が書きやすい。

とりあえず今日は全体のあらすじを考えてノートに書いて、

明日、千尋先生にみてもらおう。

こうして俺はいろいろなラノベを参考にしてあらすじを考えていた。


「ん……、あ! やってしまった……」


時計を見れば朝の7時、完全に寝落ちして

しまった。

とりあえず俺は途中まで書いたあらすじを千尋先生にみてもらった

「悪くないが、テンプレばかりだしヒロインが死んでいる」


「死んでいるとは?」


「特徴がなければ愛嬌もないんだよ。明日また考えてもってこい」


「分かりました...」


ヒロインが死んでいると言われても今まで女子となんて話した事ないし、どうすればいいんだよ...。

そんな俺は廊下をとぼとぼ歩きながら校門へ向かっていた。


「誠くん」


後ろから声が聞こえた、透きとおった声だった。振り向けばそこにはメインヒロインが立っていた。

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小説家への道にラブコメ的展開を。 @nokemonoP

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