第10話 帰還して帰国して…

「出来たわ…永久機関…」

「なるほど…コレいつ止まるのかしらね」

「なんかイメージと違うけど、この際コレでいいや」


 机の上にテンッと置かれたお手製の『水飲み鳥』

 コクン…コクンと首を振っている。


「アタシの手作りにしては上々よね」

「その手で作ったと言えば凄いことだわ」

「勘弁してやるよ…今年はコレで」


「帰れるー!! そして帰ってこれるー!!」

「無職…人口増加傾向…我、歓迎せり…ウフッフフ」

「おっ!! ベッドの下に穴が」

「あーっ、出たコレよ、コレに吸い込まれたのよアタシ」

「おーっ、じゃあ飛び込めば帰れるんだな」

「コバヤシマルは返してね」


「じゃあね、2度と馬鹿なことするんじゃないわよアンタ達」

 手を振りながら、スポッと吸い込まれる黒猫(オカルティックな)ぬいぐるみ。

 穴が小さくなるとポイッとぬいぐるみが放り出された。

「猫パンティ…ありがとな…」

 薄い緑のショーツを穿いたままのぬいぐるみを両手で持ち上げてサトシはフッと笑った。

「パンティ眺めて笑わないで…キモいから」

「そういうことじゃねぇよ…エロ姉貴」


「お姉ちゃん、サトシ、今日の夜にね羽田に行くから、お母さんの妹を迎えに行くの付き合ってくれる?」

「外にでるの…嫌だ…」

「そう言わないの、しばらく一緒に暮らすから、フランス帰りだし、頭だけはいい子だったからサトシの家庭教師も兼ねるのよ」

「マジか…」


 猫パンティ帰国まであと2時間…3人の再開は、もうすぐ…。


  Fin

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日本と猫と自由研究 桜雪 @sakurayuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ