第6話 流星の彼方へ

ジローは再びサバンナの前で足を止め暫く車を見ていた。その時後ろから女性の声で「私の車に何か用でもあるの」とその声にジローが振り向くと長身の女性が其処に立っていた。ジローの目は彼女の手の赤いマニュキュアを凝視していた。女性は再び「何か用」と聞こえないとでも思ったのか、大きな声で言い、ジローはその言葉に反応するかの様に「この車君の」と言い彼女は「そうよ」の声にジローは顔全体に笑顔が広がり「やっと会えた」と答えた。

何の事か分からず茫然としている彼女に「探し回った、クラブに居た」と聞き、彼女は問いに「私を探していたの、クラブの横のバーに居たけど」と自然に笑いながら「今日は面白い夜になるわ」と答えた。

ジローは笑い声に不快感を覚えたのか「何が面白いのか知らないけど、俺は想像通りで安心した」と言い「男前の貴方に想像して頂いて光栄だけど、何処かで会いましたか」と思い出す様に言いジローは先ほどの話を女性に聞かせた。彼女は納得するかの様に頷きながら話を黙って聞き「私そんな上等は女ではないけど、篠原雪絵と言います」と名前を告げジローも其れに応えた。

雪絵は突然「人生って面白い」と再び笑うとジローの何が面白いと言いその問いに彼女は「わたし彼と今別れて来たの。今夜は最悪の夜になると思っていたけど、こんな出会いが有るなんて驚き。だって別れた後に男が私を探し廻っていたなんて最高でしょう」と声を弾ませ、ジローはその言葉に「俺は光る流星って所かな、突然現れる光」と言うと彼女は笑いながら「じゃ、流星の彼方へ今夜連れて行くと言って」と無邪気な声で彼にウインクした。


雨上がりの埠頭は潮風が二人を包むように風が吹いていた。

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流星の彼方へ @kaibakougan

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