track 4
「そろそろかしらね、由梨」
壁に掛けた時計を見ながら、たんぼさんが言う。時計を見ると、時刻はもうすぐ五時になろうとしている。
「そうだね。プレゼントを渡すのが楽しみで、ドキドキするよ」
「そうね。由梨、きっと喜ぶわよ」
ぼくとたんぼさんがそんなやりとりを交わすのも束の間、黙々と本を読んでいた鏡子がすっと顔を上げてつぶやく。
「来るわ」
「相変わらず鋭いわね」
たんぼさんは言いながらクラッカーをぼくと鏡子にも手渡す。
そして三人で席を立ち、入り口の手前で待機する。
数秒後、館の重い扉がギギギィとゆっくり開かれて由梨ちゃんが現れた。
本日の主役の登場である。ぼくらはクラッカーを鳴らして由梨ちゃんを迎え入れた。言い出しっぺのたんぼさんはノリノリだったけれど、鏡子は少しだけ恥ずかしそうにしていた。
「お誕生日おめでとう、由梨」
ニコニコとたんぼさん。
「おめでとう、由梨」
静かに、優しさを込めて鏡子。
ぼくは、突然の快音に未だうろたえる由梨ちゃんの頭をわしわしと撫でた。
「おめでとう、由梨ちゃん。けれど、大人の階段を昇るにはちと早いかな~」
つい、意地悪なことを言ってしまう。
「うが~~~!」
噛み付かれた。痛い。そりゃそうなるか。由梨ちゃんやたんぼさんの気持ちを知りながら、しれっとこんなことを言ってのけるぼくはやっぱり人としてなにかが欠落しているのだろうか。
少なくともそれは今考えることではないので、ぼくはすぐに捨て置いた。どうせいつものお約束だし。答えが出るべくも無い。いや、どうせいずれ出てしまうのだ。きっと最悪の答えが――だからぼくには、今のいつもを大切にすることしかできない。ぼくはいつもどおりにごっこを続ける。
「む、むう。さすがは由梨よ。また一段と咀嚼力を増したな……。こないだの嗅覚といい、ブリーダーとして鼻が――」
「うがが~~~!」
鼻が。噛まれた。痛すぎる。なぜだ。ちゃんとちゃんを取ったというのに。
「もう……早く始めるわよ」
いつものように、鏡子が半ば呆れ気味に場の進行を促す。
こんなとき、たんぼさんは大体いつもニコニコと楽しそうにしている。場合によっては、更なる追い討ちのきっかけをプレゼントしてくれる。そんなときは、追い詰められるぼくを見てますます楽しそうに笑う。けれど、たんぼさんもこの誕生会を楽しみにしていたのだろう。今日のところは素直に鏡子の進行に従った。
手はずどおり、鏡子がテーブルへ由梨ちゃんを腰掛けさせ、その間にぼくはロビーの照明を落としに行く。すっかり薄暗くなったところでたんぼさんが、用意しておいたバースデー・ケーキに火を灯し運んでくる。ふわふわとした声で、バースデー・ソングを歌いながら。ぼくは手拍子とともにたんぼさんの歌に追随する。こういうことが少し苦手な鏡子も、小さく優しげな声を重ねる。由梨ちゃんは初めてのお祝いに言葉も失くし、つぶらな瞳を潤ませてふるふると震えている。今にも泣き出しそうだ。つられてついこちらまで泣いてしまいそうになる。由梨ちゃんのお誕生日を祝うことが出来て、ぼくらもまた感無量なのだ――けれどその光景のすべてに、ぼくはなぜだか不思議な既視感を感じてならない。
ぼくはいつか発した言葉をなぞるように、由梨ちゃんを促す。
「さ、由梨ちゃん。火を消してごらん」
由梨ちゃんは一生懸命息を吹きかけてロウソクの火を消す。
ぼくらは決して盛大ではない拍手で、小鹿のように震える由梨ちゃんを包み込む。
ついに、由梨ちゃんは堰が切れたように泣き出してしまう。ありがとう、ありがとう……と切実な声を上げながら。あたりまえのことをこんなにも喜ぶ由梨ちゃんが、ぼくにはあまりに尊い存在に思えた。そして、それは同時にとても哀しいことなのだろうとも考えた。あたりまえのことがあたりまえ以上に切実にうれしい。その背景には必ずと言っていいほど深過ぎる傷や尋常ではない痛みが存在するからだ――そんな思考もまた、漠然と不安を伴った強いデジャヴのなかに呑み込まれていった。
「さて、と」
それからみんなでケーキを食べていると、たんぼさんがMoet & Chandonなどと書かれたなにやら小洒落たボトルをおもむろに開け始めた。
「……おい」
つい、先輩への口の聞き方を忘れてしまう。
「あら、なにかしら」
なにかしら、じゃねーよ! という脳内のツッコミに呼応してか、鏡子が無言でたんぼさんの手をホールドする。
たんぼさんは如何にも不服そうに抗議する。
「だって、モエよ! 萌えなのよ! 由梨のお祝いにぴったりじゃないの!」
しれっと言ってのける。この人は、頭は良すぎるがとんでもない阿呆だ。それを痛感する。
しかし、たんぼさんの不可解な抗議も虚しく、シャンパンは鏡子によって没収される。無事、グループの平和は保たれた――一度だけ、みんなでアルコールに手を出したことがあったがたんぼさんも由梨ちゃんも一口で酔っ払ってしまった。由梨ちゃんはまだ眠りこけるだけだったから可愛いものだったけれど、たんぼさんに至ってはとんでもない酒乱淫乱ぶりで散々なことになった。そのときもお酒を持ち込んだのはたんぼさんその人だった。まったく、タチの悪い先輩である。
「うぅ。あたしもお酒飲みたかったな……」
こちらは大人に憧れるお年頃の、懲りない中二女子である。
「ほら、由梨だってこう言って――」
このアマは。四つも下の後輩に便乗しようとしている。キッと睨みつけてやった。
「うぇ~ん、こわいよ~」
子供か。おまいは。すっかり縮こまって不貞腐れてしまう。
「……ふう。ね、そろそろいいんじゃないかしら」
ダメな先輩をなだめるように、鏡子はたんぼさんの背中を撫でながら言う。
たんぼさんはにっこりと笑顔を取り戻し、とてもうれしそうに言う。
「そうね。デュフフフ。きっと似合うと思うわ」
奇怪な笑い声はこの際不問にしておく。たんぼさんはおもむろに鞄へ手を伸ばし、赤いリボンで飾られたプレゼント袋を取り出す。
「はい、由梨。お誕生日おめでとう」
由梨ちゃんは目の前に突き出された代物に、戸惑いながらも遠慮がちに手を伸ばす。
「こ、これ。あたしなんか、が、も、もらっていいの?」
上ずった声で、しどろもどろに言う。
「そうよ。由梨にもらってほしいの」
たんぼさんは最年長者らしく、穏やかに微笑んでみせる。
「……ありがとう。開けても、いい?」
まったく由梨ちゃんは。また泣きそうな顔をしている。かわいいやつめ。
「もちろんよ。むしろ、今ここで開けてほしいの」
「う、うん!」
由梨ちゃんはそわそわとしながら、丁寧にリボンを解いて袋の中身を取り出す。由梨ちゃんは動作を停止して、目をきらきらと煌めかせる。
「こ、これ……うれしい……すごくうれしい」
袋から現れたものは、黒いレース・ドレス――右肩部の大きなフリルと、一部分だけ長く垂れたスカートの裾が印象的な、由梨ちゃんの大好きなボカロ曲「深海少女」の衣装だった。
「着てみてくれるかしら?」
「う、うん!」
そして、由梨ちゃんはそそくさとお手洗いのほうまで駆け込んだ。由梨ちゃんを待つ間、たんぼさんはそろそろ地が出てきたのか、すっかり先ほどまでの風格を失い息をみだらに荒げていた。まったく、飛んだ変態ぶりである。
「ど……どうかな?」
引っ込みがちに戻ってきた由梨ちゃんは不安そうに尋ねてくる。
たんぼさんはすかさず由梨ちゃんに飛びつきながら言う。
「ふひ! ふひひひ! かわいい! かわいいわ!」
ぼくと鏡子も、たんぼさんに続く。
「ええ。きれいよ、由梨」
「うん! かわいいね、由梨ちゃん」
由梨ちゃんはたんぼさんの突進と執拗な頬ずりにうろたえながらも、目に涙を浮かべながら微笑む。
「……ありがとう。でも、これ。サイズがほんとうにぴったりでびっくりした」
「ええ。ときどきこうやって計量しているから。あたりまえよ。由梨のかわい~いカラダをすみずみまで体感しながらつくったわ。あ、大丈夫よ。垂らした涎はきちんと拭いているから」
またこの人は。どうしてこうもさり気無く変態振りを発揮しようとするのか。ていうか洗え! 「大丈夫よ」じゃねえ!
けれど由梨ちゃんはそんなたんぼさんの変態性など一切気にも留めず、ただただ切実な喜びをあらわにする。
「うん……うん。そうだよね……そうだよね。あたりまえ……かぁ。ありがとう」
由梨ちゃんはまたぽろぽろと泣き始めてしまった。ほんとうにうれしそうに微笑みながら。きっと由梨ちゃんはたんぼさんの言葉が示した事実――それがたんぼさん自身による手づくりだったという事実に感激しているのだろう。これだけの完成度のものをつくるのに、いったいどれだけの時間と労力を費やしたか。その間、じぶんのことをどれだけ考えてくれていたのか。由梨ちゃんはそんなところにまで、想いをめぐらせているのだろう。ほんとうに、由梨ちゃんはいつもぼくらの心をきれいにしてくれる。だから、ぼくらは心から由梨ちゃんのことを大切に想えるのだろう。ぼくに関しては少なくとも今のところはだけれど。
それから、ぼくは最近由梨ちゃんがハマっている船橋市放置ゆるキャラふなっしーのDVDを、鏡子は由梨ちゃんが秘かに欲しがっていた化粧品一式に、手づくりのメイク入門書を添えてプレゼントした。鏡子のつくった入門書の表紙には光へと伸びる階段を昇る、幼い「深海少女」のイラストが描かれていて、由梨ちゃんはまた目に涙を浮かべて喜んだ。
――それらの光景には、もうケーキを食べ始めたときのような既視感はまるでなかった。けれど、今度は堪らなく哀しい気持ちが込み上げた。どうしてだろう。ほんとうは、とても幸せな光景のはずなのに。やはりいつか終わることを知っているからだろうか。ぼくがいずれ彼女たちを裏切ってしまうということを。
ぼくは冷めた思考を必死で振り払った。目の前に、大切な由梨ちゃんが居るのだ。今はなにも考えてはいけない。ぼくはいつもそう思うようにしていた。
プレゼントの受け渡しが終わり、しばらくの談笑を経てから由梨ちゃんの発表会が始まった。ぼくが以前から教えてきたギターの腕前を発表する、というわけではなく、由梨ちゃんにはぼくらに歌を通して伝えたい想いがあるとのことだった。
陽もすっかり暮れており、照明を消すと今度は真っ暗になった。ぼくらは用意しておいた古風な石油ランプを灯し、由梨ちゃんを中心に辺りをぼんやりと照らした。
由梨ちゃんは静かに深呼吸を済ませてから、ギターを手に歌い始める。
第一声。
すっと息を吸う音から滑り出すように、か細く澄んだ声が放たれる。
少し遅れて、仄かなディストーションと深いリバーブのかかったギターが鳴らされる。
どことなく波のざわめきや水の質感を感じさせるような、哀しくも暖かみのある音色だ。
原曲では和音を一音ずつ分散して奏でるところを、まだまだ未熟な由梨ちゃんはひと思いにかき鳴らす。そのうえ小刻みなコード・チェンジに、由梨ちゃんの小さく拙い手はどうしても遅れがちになる。
けれどその音はあくまで丁寧で、瞳に宿る光は一切甘えを感じさせない。集中している。由梨ちゃんは本気だ。その緊迫感にこちらも感性を研ぎ澄まされる。演奏が始まってまもなく、ぼくらは由梨ちゃんの奏でる深海の世界に引き込まれていく。
由梨ちゃんが歌い始めたのは、由梨ちゃんが大好きなボカロ曲「深海少女」だった。
由梨ちゃんは、遠い目でこちらを見つめながら歌う。切なげなその声には、どこか懐かしむような暖かさが仄かに篭っている。きっとかつての自分自身をそこに投影しているのだろう。それがひしひしと伝わる。ぼくとしても、その歌を聴いていると彼女と屋上で過ごした日々のことを思い出さずにはいられない。由梨ちゃんのあの寂しそうな仕草や、哀しみに満ちた眼差しを。
由梨ちゃんの歌声は、次第に熱を帯びていく。穏やかな歌声は、やがて痛切な叫びへと変わっていく。あたりまえだ。由梨ちゃんはまだ哀しみの最中にいる。確かに由梨ちゃんはぼくに出会い居場所を得て、ある程度のレベルでは救われた。けれどほんとうの意味ではまだその海を出ていない。人はそう簡単に救われるものではないのだ。由梨ちゃんのように純粋であればあるほどに。そして、ぼくにはそんな彼女をこの海から連れ出せるほどに、ニンゲンの才能を持ち合わせていない。きっと。それを思い知らされる。
途中、複雑なテンション・コードが入る展開部で、その難しさと由梨ちゃんの暴走が相まって、ギターの伴奏がグチャグチャに乱れる。それが歌詞の内容とリンクして、頭を思い切り鈍器で殴られたような生々しい痛みが走る――
「こんなに服は汚れてしまった! 笑顔も醜く歪んでいった! 誰にも合わせる顔なんて無いの! もう放っておいてよ!」
その叫びに、ぼくはあの日公園で見た彼女の乱れた制服を、狂った世界に奪い去られそうだった彼女の堪らないほどの儚さを鮮烈に想い出した。
ぼくは泣いている。涙を流している。ぼろぼろと溢れるそれを、ぼくは止めることができない。なんて身勝手な生理現象なのだろう。感情は嘘だらけだ。ぼくはそれをイヤというほど知っているというのに。
間奏のインターバルを置いてから、由梨ちゃんのギターと声は少しだけ落ち着きを取り戻す。けれど、また由梨ちゃんの叫びは一気に沸点へと達する――
「次の瞬間、君が突然姿を消した!!!」
そう由梨ちゃんは叫ぶ。それはますますぼくの心をドス黒く抉る。どうしてそんなに切実に叫ぶの? まるでぼくが裏切ることを知っているみたいじゃないか。けれど、その先の展開は決して楽曲のようにはならないよ。いずれ壊れたぼくには誰も追いつけないだろうから。由梨ちゃんが限界まで手を伸ばしても、ただ力尽きてそのまま沈むだけなんだよ。
ぼくはそんな言葉をつい頭のなかに浮かべてしまう。せめて由梨ちゃんの前では、自分や未来を信じているべきなのに。そもそも、由梨ちゃんがどんなつもりでこの曲を歌っているのか定かではない。ほんとうはぼくたちへ感謝を篭めて歌ううちに、過去の感情がフラッシュ・バックしているだけなのかもしれない。由梨ちゃんはぼくたちに伝えたい想いがあると言っていた。それならなおさらそう取るべきなのだ。少なくとも、由梨ちゃん自身はきっとそのつもりでやっているのだ。
ぼくは邪推を切り上げ、エンディングへと近づく由梨ちゃんを見守る。
楽曲には最後のヴァースの手前で巧みな転調が仕掛けられており、由梨ちゃんの声はほんとうに海中を昇っていくように、音符の階段を駆け上がる。
甲高い声が、空間を切り裂くように反響する。
由梨ちゃんの歌声には、おそらく彼女自身把握できないような様々な感情が渦を巻いて纏わりついている。本気で歌うという行為はあらゆる感情を激しく増幅、あるいは喚起させる。だからそこには光も影も宿る。喜びも、痛みも、哀しみも、ぬくもりも、エゴイズムすらも、すべてが少なからず混じり合う。だからそのバランスから、歌い手の心理を読み取ることも出来ないことではない。けれど、ぼくは今それをすべきではない。ぼくはそれらの渾然一体とした叫びを、由梨ちゃんからぼくたちへの激しく痛切すぎる感謝の表れなのだと理解した。実際がどうかはともかく、そう受け取っておくべきだと思ったからだ。それが由梨ちゃんのためになると思ったからだ。
けれど歌い終えた由梨ちゃんは、だらりと全身を弛緩させ儚く夢見るような瞳でなにもない虚空を仰いだ。その一瞬の仕草に、ぼくは胸を締め付けられた。やっぱり、彼女の「深海少女」はまだ終わっていないのだ。そう思わざるを得なかった。
少しの間を置いて、由梨ちゃんはこちらにぺこりと一礼する。ぼくは快音を立てて拍手を捧げた。たんぼさんもそれに続いた。でも鏡子は、ただ廃油のように暗く沈み込んで硬直しきっていた。その様子は明らかに尋常ではなかった。そして、なにか言いたげな目でちらりとぼくを見つめてきた。その果てしないほど苦悶に満ちた一瞬の眼差しが、どうしても心を離れなかった。
その後、発表を終え疲れきっている由梨ちゃんを包み込むようにして、しばらくはゆったりとした空気が流れた。ぼくは頃合いを見計らって、そばに立てかけてあるアコースティック・ギターを手に取り、おもむろに歌い始めた。あくまで気楽に。アット・ホームに。
ぼくがギターを弾き始めると、由梨ちゃんはすぐにそれがなんなのかに気がついて目を潤ませていた。
ぼくが歌ったのは、あの日、由梨ちゃんにギターで爪弾き聴かせたオリジナル曲――かつてはインストゥルメンタルの楽曲だったそれに、新しく歌詞と歌メロをつけたものだった。
ぼくは由梨ちゃんと屋上で過ごした日々のことを穏やかに歌った。なるべく優しい発声を心がけて。由梨ちゃんが初めて屋上に現れたときのことや、なんとなく目が合ったときのこと、いつかこっそり覗いたお弁当の盛り付けが可愛かったこと、そんななんでもないことばかりをゆったりと歌い紡いだ。そして、最後にはあのとき屋上でぼくが思ったこと――どうにか目の前の世界だけでも暖かくきれいな世界に変えたい。そんな白々しい祈りで曲を締めくくった。
少しやり口がずるかったか。やっぱり、由梨ちゃんはぽろぽろと泣いて喜んでいた。
そんな由梨ちゃんの存在が、なによりもその場を暖かくきれいな世界にさせていた。
そのあとは、たんぼさんに「スケコマシ」などと野次られたり、「この~~っ」などとニコやかに小突かれたりしつつ、由梨ちゃんと思い出話を紡ぎ合った。由梨ちゃんはあの頃のことをほんとうに細かいところまで大切に覚えていて、ぼくがある日地面に落としたパンのかけらをすかさず拾い食いしたとか、しかもそれが由梨ちゃんに見られていないか気にして挙動不審になっていたとか、そんなことまで持ち出してころころと笑っていた。
そうして、そんな甘やかな時間がゆるやかに流れる内に、パーティーはすぐにお開きの時間となった。
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