第4話 ライター会合へ赴く

らぶにーと。

無職になり、無職を存分に楽しもうとしているニートエッセイです。


文章を書いたりイラストを描いたりするのが好きなので、本日は調子に乗りました。


渋谷で開かれたライター会合に出席してしまったのです。

応募時に入力した「無職」という文字が胸元のバッチにキラリと悶々たる輝きを放ちます。

すぐに「無職」の文字が見えないように綺麗に折り畳み、何者かわからない状態の名札をぷらりぷらりと留めておくことで精一杯でした。


周囲の憧れのライターさんや編集者さん、カメラマン、クリエイティブな世界の人たちになんて声をかければいいのかわからず、オレンジジュースをごくごくと飲み続けました。


声をかけてみても、話ながら「私はなにをしに来たんだろう?」という自問が繰り返し胸の奥から沸き上がり、居心地の悪さにハッと気づいてしまったのです。


とにかくうまい茸をむさぼり、ウーロン茶を飲み干したら何気ない顔でその会場をあとにしました。


逃走です。


クリエイティブな世界では、介護福祉士も社会福祉士も畑違いの異物です。

なんだか自分の価値を見出だせなくなり、承認欲求で満たされることを恥ずかしく思い、何もない丸腰の自分でも堂々とやりたいことを語り、名刺交換をし、仕事につなげられない悔しさと切り抜ける夜の冷たい風とを交えながら渋谷駅へずんずん進んでいきました。


家に帰ります。


わかったことは、実績や自分の作品を作ってから参加する場だったこと。

今からその実績をつくる作業に戻ります。



ちゃらん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

らぶニート ほたこ @hotaco

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ