第16話デミ・ゴッド

 しかし、女神のもとに集った少年少女たちは、全員身構えた。


「精神攻撃などに負けないでください! あなたは女神なのだから」


 打ちのめされる女神を少年たちが支えた。


「わ、私は、好きで利用されていたのではありません。し、しかし……利用されることでながらえようとしたのも事実」


 にたり、と笑む少年。


「しかし、二度とあのような子供を産まないために、私は立ち上がったのです! 剣の女神として!」


 少年はむっとした顔。


「それが世迷言だとわからないのですか?」


「よまいごと……」


「あなたがしようとしていることは、彼らの死を無駄にする行為です」


「!」


 女神は柳眉を吊り上げた。


「そんなことはない!」


 少年たちが声をそろえた。


「考えたことはないのですか? あのまま、あなただけが犠牲になって、民間人を救い、攻撃を逆手に取っていれば……」


「なに!?」


 風を切って少年たちの拳が亜神を討とうと放たれる。緩やかに、緩慢に、それとなくかわしながら亜神は続けた。


「あのまま、あなたが爆弾を引き受けていれば、彼らは死なずにすんだのです! それを、逃げ出したりするから!」


「ううっ」


 頭を抱えて苦しむ女神を背に背に庇い、立ちふさがる少年たち。


「だったら、おまえにそれができたか、自分の胸に聞いてみろ!」


 そうだ! そうだ! と口々に叫び、みな亜神に向かっていく。


「できたでしょう。私なら」


「なに?」


 はっとする女神。そう、できたのだ彼には。彼は亜神として、半神半人として生まれてきたのだから。


「だけど、私はあなたのもとへ参じてしまった。あの爆弾を放りだして。半分とはいえ人としての宿命でしょうか」


「それでは……おまえも」


「そうです、女神よ」


「私には人の心などわからないけれど、もういいでしょう。十分苦しんだでしょう、おまえ、いえあなたも」


「いいえ、あなたはただの少女。小娘の目をしている。彼ら、彼女らが信じるに値しない」


「何を言うんだ!」


「ゆるさないぞ!」


 いきり立つ少年たち。それを女神は静かに止めた。


     ◆   ◆   ◆


(次、さらっと終わろう)

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