僕は君で君は僕

つみの

第1話 ようこそ、私の家へ

 駅前のコンビニへと走り抜け何も考えずにトイレへと駆け込む。

 バタッと音のなるほど乱暴にドアを空け手を付く。

 走り尽くしたその体は限界に近く、上手く空気を吸い込めないが必死に吸い込もうとする。

 「あの、大丈夫ですか?」

 いきなり女性の困惑した声を聞き上を向く。

 気付けば私は肩をしっかりと掴み胸に顔を寄せていた。

 「う、ゔえっごめんなさいっ」

 謎の奇声を発し手を話し咄嗟に離れる。

 あぁ、どうしよう、強姦とかで捕まっちゃうのかな、うわぁ。

 とにかく謝り続ける。

 全然大丈夫ですよ、と優しい声で言ってくれるが全く恐怖が頭から離れない。

 「とりあえず出ましょう?」

 あぁ、そうですね、本当にごめんなさい。と何度も何度も謝る。

 彼女はおかしそうにクスッと笑いカフェでも行きますかと言った。

 あまりにも優しい声に釣られカフェへとやってきたが深夜なので人は全くいない。

 ソファーの4人席へと腰を掛けタッチパネルへと手を伸ばしオレンジジュースのボタンを軽く触り画面の上にカードを置いた。 

 彼女も同じように注文をし会計を済ませる。

 一分もしないうちに店員がやってきてオレンジジュースとブラックコーヒーを置いていく。

 来るまでの間は何も会話がなくただ緊張し下を見るだけの時間となった。

 「どうしてあんな急ぎで入ってきたの?」

 急な質問に頭が回らずあー、えーとを繰り返す。

 「答えたくなかったら全然いいよ、ただの好奇心だから」

 と答え彼女はコーヒーへと手を伸ばす。

 自分もオレンジジュースへと手を伸ばしをゆっくりと飲んでいく。

 そこでやっとなぜ彼女はカフェへ行こうと言ったのかという疑問が湧いた。

 まさかーいやーなど色々な予測をオレンジジュースを飲みながら続けていた時好きな映画の音楽が時計端末から鳴る。

 画面を見て母親と分かり直ぐに電源を落とした。 

 彼女はこちらを見て首を傾げるので兄貴からですと答える。

 「なんで逃げてきたの?」

 飲んでいたオレンジジュースを吹き出しそうになり口を手で咄嗟に抑える。

 そんな姿に彼女は軽く笑いさらに質問してくる。

 「さっきから服の胸ポケットに入ってるスマホ、緑に光ってるよ」

 と言われ直ぐにスマホを取り出し位置情報サービスを停止させる。

 あぁ、どうしよう。と小声で言い頭を抱える。

 「うち来る?」

 ゔぇ、とまた謎の奇声を発しいや、そんなと断る。

 「逃げたいんでしょ?来なきゃ捕まっちゃうよ」

と追い詰められるように言われ仕方なく首を縦に振る。

 直ぐにカフェを出て彼女に手を引っ張られながら走っていく。

 駅を抜け交差点を曲がり営業時間をとっくに過ぎた地下街へと入っていく。

 電気は数個しかついておらず薄暗い地下街を走っていくが先が見えない。

 「家どこなの?」

と吐息混じりで聞くが軽く笑うだけで答えてくれない。

 とにかく必死に走っていると目的地についたようで彼女がある店の前で止まっていた。

 彼女は洋服店の前に立っていた。

 彼女はカードをドアに当てドアを開けていた。

 ついてきて、そういうと彼女は再び歩き階段を下っていった。

 かなり前に設置したのかギシギシという音を立てながら下っていった。

 薄暗く階段が見えず踏み外しそうになったが何とか階段を下りきる。

 下りきると真っ暗な空間が広がっていて彼女も見えなくなっていた。

 どこにいるの、と言おうとした時。

 パッと一斉に電気がつき先程のスーツ姿ではなく白のワンピースを着た彼女が目の前に立っていた。

 「ようこそ、私の家へ」



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僕は君で君は僕 つみの @tukki1125

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