楽しんで書き終えること

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「小説を書くのに慣れてない内は、りきまず自分が楽しめる物を書き終えるのだ。自分が楽しめ、書き終えた後に気持ちよい満足感を得ることが大切だ。それによりこれからも書いていこうと思えるだろう。このことは丸々、自慰行為に当てはまるからわかりやすいはずだ」


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■解説

 好きこそものの上手なれと言う。

 アーダルトの言いたかったのは、たぶん「好きになれ」ということだろう。

 もちろん、好きだからこそ小説を書き始めるのだろうが、そのレベルはまだ憧れである。

 そこから本当の好きを知らなくてはならない。それを知るには、やはり自分が読んで楽しい作品を完成させる喜びを味わうことがよい。

 まずはりきまず書いてみよう。

 もちろん、それはもしかしたら、他人に評価されないかもしれない。もしそうなりそうだと思ったなら、それは人に見せずに自己満足で終わらせるのも手段である。

 他人に評価されなくても、自分で読み返して面白いと思える作品なら、それだけでその作品は意味がある。それは自分の原点となるからだ。


 このことをアーダルトは、男性の自慰行為に喩えている。

 あまり力を入れて自慰行為に励んでしまうと、ナニを痛めてしまったり、感覚が狂ってしまうこともある。また、まさに自慰行為は、カキおえた後に気持ちよさを感じるための自己満足行為だ。見せるプレイもあるが、本来は他人に見せるものではない。

 しかし、この経験でイクことに興味を持ち、相手を求めて相手を満足させることを求めていくわけだ。

 まさに自慰行為は、自分の原点となる行為なのである。


 いつもながら、彼の喩えは絶異である。

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