他の作者への嫉妬
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「嫉妬は醜いがその炎はよく燃える。ならば身を焦がさず、前に進む燃料にすればいい。『筆を握っても無駄』と思うこともあるだろう。しかし、そう考えることが無駄な時間に感じるほど動くのだ。それでも辛いなら、筆ではなくナニを握って賢者になれば悟れるだろう」
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■解説
一部で受けた文学書はまだしも、アーダルトの書いた小説はことごとく売れなかった。
一方で晩年には、弟子の小説がベストセラーになるという辛い経験をしている。
その時、別の弟子が悔しがっているのを見て、彼は自分の辛さを重ねながらもこのように語ったと日記には告白している。
嫉妬をするなというのは無理な話どころか、嫉妬は正しい感情である。嫉妬を押し殺すことはないが、嫉妬に振りまわされてはいけない。
嫉妬に身を焦がすと、自分の立場、努力、存在などに虚しさや無力さを感じてしまい、モチベーションが下がってしまうからだ。
しかし、その一方で嫉妬は、上手く使えば自分のモチベーションをたきつける、非常に強いエネルギーにもなるという。
もちろん、それには「不屈の精神」というコンバーターで嫉妬を「負けてたまるか」という闘志に変えなければならない。
そしてその闘志で「無駄と考える時間が無駄」と思えるほど、筆を動かせと彼は言っているのだろう。
それは容易なことではないが、彼はそうやって物書きとして戦っていたのではないかと思う。なにしろ彼は死ぬまであきらめず、文学書と一緒に売れない小説も書き続けていたのである。それは、尊敬すべきところではないだろうか。
しかし、そんな彼でも童貞を先に卒業した弟子を嫉妬に身を焦がして破門にしたのだから、完全に有言実行できていたわけではないのだろう。
まったく嫉妬とは、度し難いものである。
なお格言では最後に、筆を握ることに疲れたら、ナニを握ってすべてを吐きだし、賢者モードに移行しろと語っている。確かに一時的でも、それで鬱憤ばらしをすることで、考え方を変えるチャンスになるのかも知れない。
自らを慰めるとは、よくイッたものである。
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