まさしく、草原を駆ける狼たちの唄。

 大草原の中に立っている印象を受けるような、臨場感に満ちた作品。吹き渡る風が草を揺らし、そこを疾走する馬。そして陰謀と人々の想い。それらが混然一体となって押し寄せてくる。ただ勉強したから書けるのではなく、自分の筆力にその時代や風俗を乗せて書けるという、素晴らしい作者様だ。いつもながら脱帽するしかない。
 一話一話が長いと感じる方もいらっしゃると思いますが、読み進めて行く度にキャラクターの個性が出てきて、とても面白く読むことができます。聞き慣れない言葉にも、ルビがふってありますし、読んでいる内に言葉を覚えてしまうほどです。
 読んで損は絶対ない作品です。是非、ご一読ください。