第75話 決闘!

 ――手袋を拾った!


 Ψ oyesu……!


 セクシー・ド・ヨンゲーンの必殺消滅魔法を惜しみなく放ってやった。


「召喚! nijneegihoa! スマイルアウトスライム!」


 金の杖を出して、円を描いた。

 スマイルアウトスライムは、かなり不機嫌そうで、すぐさまセクシー・ド・ヨンゲーンに襲い掛かったが、さきに放った消滅魔法をくらった。


 ボッシュー。


 その隙に、伯爵は、再び円を描いた。


「召喚! nijneegihoa! ドロボースライム!」


 セクシー・ド・ヨンゲーンは、ボスビーオ山でスピードを鍛えたのさ。


 Ψ ojukas……!


 空き巣のような面をしたドロボースライムの巨体をミミズがえぐるように削除魔法で痛めつけてやった。

 それでも、スピードのあるアタックを止めないので、セクシー・ド・ヨンゲーンは跳躍の着地を待たずに続けざまに行くぜ。


 Ψ ojukas……!


 おおっと、伯爵を見逃すな。


「召喚! nijneegihoa! デラックススライム!」


 よく見ると、金の魔法の杖がはげてきている。

 魔法による摩耗か?


「デラックススライムよ! ネコーコ・ハルミ姫の体を潰してしまえ」

 杖を一振りした。


 ズズズズ……。


 ネコーコ・ハルミ姫にデラックスな態度で迫る前に、セクシー・ド・ヨンゲーンは立ちはだかった。

 憤りは抑えなくていいんだ。

 気持ちはバーストされた。


「きっさま! 漢とは呼べぬわー!」


 ――魂に炎が燃え盛った。


 Ψ gnos……!


 族のセイレーンで歌を鍛えたのだ!

 デラックススライムは伯爵のコントロールを失った。

 今だ!


 Ψ gnos……!

 Ψ gnos……!

 Ψ gnos……!


 デラックススライムの体が一グラムもなくなるまで散らしてやった。


「漢は卑怯じゃいけないんだ……」


 聖ボスビーオ山で得た聖魔法剣を風呂敷からぷりっと目の前に出し、腕をぐっと伸ばした。


「我が剣となり、我が身となって、最上の魔法力を与え給え……」


 トルネードがセクシー・ド・ヨンゲーンの本当の名を刻んだとされる刃に手をかざす。

 どんなにきらきらとした宝石よりも輝いて見えたからだ。

 体に文字が刻まれて行く。

 秋生……?

 なんだ、それは。

 いや、今は集中だ!


 Ψ eteled ukaysukah ōzegihekusas……!


「む、デリートは止めろ! まだまだ、やりたいことがあるんだ! シ、シールド魔法を……。えーと」


 まごついてやがる。


「召喚! nijneegihoa! ah……。 盾!」


 セクシー・ド・ヨンゲーンは、素早く姫を抱えて、大広間の階段を登った。

 足元から、人造クリスタルの階段が崩れて行く。


 ガガガガガガ……。


「にゃん」

「姫、思ったよりもお元気そうでよかった」

 腕の中の姫を愛おしく思いながら、ひたすらに高いクリスタール宮殿の鐘へと登って行った。


 振り返りもしなかったが、サスケヒゲゾー伯爵の悲鳴が聞こえた。


 これで、決着はついたのか。


「少なくとも、今、姫の温もりを感じられることは、至上の喜びですよ」

「にゃん。にゃあー」


 >分岐<


 A 足を滑らせる。

   第76話へ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884485193


 B 鐘に辿り着く。

   第77話へ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884485198

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る