第44話 いっちょ甘えて

「そうか。助かる。入れてくれ」

 地面はかなり深く掘られており、他の豪にも続いているようだ。

 どこかの書物で見たカタコンベを思い出した。

「急いでおくれ」

 緑の布で顔を覆ったおばさんから声を掛けられた。

 この町の人々はよく被っている。


「ありがたい」

 中に入ると、ひょっとこもいた。

「おや、温泉卵もあるでよ」

 商魂たくましいな。


「蓋を閉めるぞー!」

「おー!」


 ギギギイー……。

 バッターン……。


「お母ちゃーん。暗いよー。怖いよー」

「いつものことだろう」


「ほんぎゃ! ほんぎゃ! ふんぎゃ!」

「おおお、よしよし。よしよし」


 あの鐘が鳴ってすぐだ。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオ……。


「地面が泣いている。もう近い!」


 ドドドド。

 ドドドドドドドド。

 ドドドドドドドドドドドド。

 ドドドドドドドドドドドドドドドド。

 

「来たー!」

「きゃー!」

「んママ! ママ!」

「あなたー! 生きている?」


 グワワララララ……。

 ドーン!


 蓋が割れんばかりに軋む。


「あ、あーん。あーん」

「泣かないんだよ。大人がいるから大丈夫だよ」

「あんちゃーん……。あーん。うえ、うえーん」


 グワワララララ……。

 ドーン!


「また、来たー! ほら、こっちへ集まって」

「これは、災害か戦争か……。セクシー・ド・ヨンゲーンが何とかしなければ!」


 真っ暗な中、人々は頭を抱えて、子供を抱えて、お年寄りを抱えて静かに災害と闘っている。


 >分岐<


 A どうしてこの町を離れないのか訊く。

   第46話へ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884268932



 B とにかく、静まったら飛び出す。

   第45話へ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884267445

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