第21話 コーヒーはかくあるもの

「まあ、一杯いかがですか?」

「毒でも入れたか?」

 人間に鼻をふさがれてしまった。

 セクシー・ド・ヨンゲーンは立派な鼻をふさがないのに。


「まさか。セクシー・ド・ヨンゲーンの名に誓ってないですよ。お掛けください」

 サスケヒゲゾー伯爵は粗末な木の椅子を蔑視した。


「すみませんね。前回優勝しても、賞金はネコーコ・ハルーミ姫を探す旅でくたびれてしまったのですよ」

 お前のせいだ。

 文句のひとつも聞いてくれ。


「ふっ。まずいコーヒーだ」


「二人で飲めばまずくはないと思いますが」

 ねめつけて自分の似顔絵を彫り込んだマグに口をつける。

「伯爵たるものの口には合わないな」


「コーヒーはかくあるもの。その価値観が違うのですかね。サスケヒゲゾー伯爵、今日は決勝。おかわりはございませんぜ」


 そうして、私は一人、コーヒーを飲み干した。


 >分岐<


 A コーヒーを置き、木戸を魔法で開いてサスケヒゲゾー伯爵にお帰り願った。

   第23話へ。https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884230680

 

 B サスケヒゲゾー伯爵の残したコーヒーを持って、踊るセクシー・ド・ヨンゲーンワンマンステージを催した。

   第24話へ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884230720

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