あとがき
2ヶ月かかって書き終わりました!
やったー!
今回の第2章は大変健康なメンタルで執筆したので、雰囲気が生きているか少し不安です。
(第1章は絶不調期でしたがもう5年も前のことなんですね。びっくり。)
さて、死の選択肢を探しての新章はいかがでしたか?
こちらも引き続き、私の死生観を存分に書き記す内容となりました。
同じ事ばかり書いているかな、と思いつつ、今回はシチュエーションが違ったのでヨシとします。
書き残したことはありませんが、読んでくださった方々の中では、何故Sはあのタイミングで決意したのか?という疑問が残るかもしれません。
本当は、"私"がメゾン寧静の職員に賄賂を渡してSが入所できるよう手筈を整えるシーンを挿入し、もう少し時間差を出す予定でした。
飽きそうだったのでカットして、えいや、で終わらせてしまいました。
ちなみに、賄賂を渡したのは、面談時に謝罪したあの女性です。
山本と名乗りましたが、職場柄、偽名を使用しています。
彼女は元患者で、1年間のメンタルケアの結果、就職を望んだうちのひとりです。
おそらく寛解していないので、外で働かず、メゾン寧静に留まっています。
彼女は希死念慮が残っている為、入所希望者に同情しています。なので、彼らを助けるつもりで賄賂を受け、同意書のサインを偽造、管理書類も書き換えてケア期間を故意に短くし、早くドナーにしてあげる、ということを過去にやっています。
彼女が「申し訳ありません。規則なので。」と言ったのは心からの謝罪だったというのが真実です。
気分が乗れば紙の本にする時には加筆しようかなと思います。
さて、今回の自殺幇助施設、自殺志願者にドナーになってもらうというのは、韓国の雑踏事故と、とあるツイートがきっかけで思いついたシステムです。
件の事故が起きた頃、Twitterで「ドナーカードを持つということは、他人から死を望まれるということだ」と主張するツイートをたまたま目にし、そう言う風に考える人がいるのか、と驚いた事がありました。
雑踏事故は若い命が沢山失われた痛ましい事故でしたが、日本の自殺者数の方が多いなと思い、全員ドナーになればもっと救われる人いるよな、と考え形にしました。
実際にドナーを待つ人が大勢いて、海外に行ったり、行く為の資金をクラウドファンディングする方もいらっしゃる世界ですから、メゾン寧静のような施設があっても良いと思うんですよね。
こっち側の人間からしてみても、必ず再来する鬱や不幸に怯えながら生き続けるくらいなら、「人の命を救う」なんて勲章を貰って終止符を打つ方が万々歳ってもんですから。
ところで、彼女たちの入所を阻止した親の同意書について、彼女たちはあれを大変罪深いものとして激昂しましたが、やはり大事な役割があるんですよね。
役所感とリアルな面倒くさい感じを出したかったのも勿論ですが、それ以上に「環境要因の自死を防ぐ」意味合いがあります。
要はいじめやら毒親やら、そういう外部の圧力で自死を強制されることがないように、また、ブラックな職場など「環境を変えればまだ自殺願望から逃げ切れる」方々が「生きられないから死を望む」ことがないよう、同意書と1年間のケア期間を設けました。
勘違いを招かないようここで明言しておきますが、『死にたい奴は死なせとけ』の『死にたい奴』に上記の環境要因の人たちは含まれていません。
”私”も私も、彼らは適切な対応とケアを受け、救われるべきだと考えています。
逆にSも”私”も環境は良好でしたから、問題があるのは彼女たち自身の考え方のほう。
ですから、彼女たちには「生きる選択肢」と「死ぬ選択肢」が同等の選択肢として持たせてあげたいし、それを他人にどうこう言われたくない、という主張を声高に叫ぶことを許して欲しいと思っています。
(この小説を書いている時点で当然と言えば当然ですが、私もこのタイプです。)
尚、今回は母親が悪者であるかのように書きましたが、それは友人を奪われそうになった”私”目線のお話の構造上の都合ですので、その辺はご理解いただければと思います。
"私"の言った通り、そういった切羽詰まって他人の自己犠牲を督促せざるを得ない人たちを救う為にも、メゾン寧静は与えられた役割を全うすべきだと私は思っています。
メゾン寧静、かなり需要と供給にマッチした良い案だと思うのですが、なんで実在しないんでしょうね?
私が知らないだけで既に存在してるのかな?
というわけでそんなこんな、あとがきという名の補足でした。
長すぎて興ざめしないか不安なので、これでお終いにします。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!
『死』の選択肢を探して りりー @Ririry
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