第9話:長い夜
☆
渡が叫んだ。
「…え?」
彼女の顔に、ぴぴっと何かが掛かる。
体をベットごと軋ませ、肩から胸、そして脇腹にかけて血を吹き上がらせ、渡が叫んだ。
病室の外が騒がしくなる。
「そんな…嘘……渡!」
渡は白目を向いてびくんびくんと
「ちょ! 誰か来いよ!
渡が! 渡が死んじまうだろうがぁああ!」
ナースコールを押しながら、彼女は渡に
そして喉に溜まった血を吸い上げ、吐き出し、また吸い上げ、吐き出す。
「がはあ! ぜはぁ! ぜはぁ!」
そして渡は呼吸を再開した。
続いて病室に入ってきた医療人が即座に渡をその場から移送し、渡は緊急治療室へと運び込まれる。
長い夜が始まった。
☆
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