第8話:神の加護


バオオォオオオ!


何本目になるかわからない丸太が折れた。


ビシリ ビシビシ


同時に、結界へヒビが入り出す。


ぴぎゃああ! ぴぎゃぴぎゃ! ぴぎゃあ ――――


「ファイヤーウォール!」


ゴブリン達から歓声が上がるのと火の手が上がるのに、大した差はなかった。


「頼んだぞワタル!」


タカホが叫ぶ。


ああ


焼け残ったゴブリンとジャイアントオークが青年へと気を取られている内に、青年とは反対側の森から僕は飛び出す。


目指すはあの巨人!


足を踏み出し『とどめ』、また足を踏み出し『とどめる』。

それを繰り返すことで透明な階段を駆け上がるようにして、僕は巨人の顔隣へ着いた。


これが僕の今の、全身全霊!


「開け! 六道が一門 ―― 」



酒神は言った。


“ お前は餓鬼道に落ちる ”


「 ―― 餓鬼道!!」


『異端』が発動する。


ば、ばばば


沸き起こる、発狂しそうなほどの空腹感、飢餓感。


あばば

ばばばばば!


手足がきしみ、理性が湯立ゆだち、全ての尊いものが遠い過去に感じる。

そして何よりも苦しい、空腹! 空腹! 空腹!


「ばーばばば! ばばば! あばばばばばば!」


喰イタイ!!

喰イタイ!!

喰イタイ!!

喰イタイ!!


かすむ視界の中、伸ばした腕が無意識に何か肉質あるものを掴んだ。

それはグオォオ!?という鳴き声を上げる。

どうやら動物のようだ。


喰える! これは喰える!


がじり


食えると思うなり行動は早かった。


がじ ぶちり がじがじ ぶちぶち がじ ぶちり


ブオオ!?

ブオオォオオォオ!!?


僕は飢えが満たされるまで、この獲物から血を、肉を、奪い続ける。


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