第8話:神の加護
☆
バオオォオオオ!
何本目になるかわからない丸太が折れた。
ビシリ ビシビシ
同時に、結界へヒビが入り出す。
ぴぎゃああ! ぴぎゃぴぎゃ! ぴぎゃあ ――――
「ファイヤーウォール!」
ゴブリン達から歓声が上がるのと火の手が上がるのに、大した差はなかった。
「頼んだぞワタル!」
タカホが叫ぶ。
ああ
焼け残ったゴブリンとジャイアントオークが青年へと気を取られている内に、青年とは反対側の森から僕は飛び出す。
目指すはあの巨人!
足を踏み出し『とどめ』、また足を踏み出し『とどめる』。
それを繰り返すことで透明な階段を駆け上がるようにして、僕は巨人の顔隣へ着いた。
これが僕の今の、全身全霊!
「開け! 六道が一門 ―― 」
喰らえ
酒神は言った。
“ お前は餓鬼道に落ちる ”
「 ―― 餓鬼道!!」
『異端』が発動する。
ば、ばばば
沸き起こる、発狂しそうなほどの空腹感、飢餓感。
あばば
ばばばばば!
手足が
そして何よりも苦しい、空腹! 空腹! 空腹!
「ばーばばば! ばばば! あばばばばばば!」
喰イタイ!!
喰イタイ!!
喰イタイ!!
喰イタイ!!
それはグオォオ!?という鳴き声を上げる。
どうやら動物のようだ。
喰える! これは喰える!
がじり
食えると思うなり行動は早かった。
がじ ぶちり がじがじ ぶちぶち がじ ぶちり
ブオオ!?
ブオオォオオォオ!!?
僕は飢えが満たされるまで、この獲物から血を、肉を、奪い続ける。
☆
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