君と僕との白外線?

 夏休みも終わりに近付いていたある日。守家から頼まれ、僕の自宅で宿題を教えることとなった。補足だが、僕の部屋には丸いローテーブルが置いてある。パソコン用のデスクもあるが、一対一で教えるならテーブルが最適だと思い、守家と向かい合う形で座った。正直なところ、そんな最中なのに側に座る守家への興奮が抑えられなかった。うう、あああ、どうしてあんなことを、僕は──。

 ふと自分の股ぐらを見ると、もはや抗いようがないほどに反応を見せていた。それを見る自分の顔が明らかに紅潮していくのを感じる。守家の顔をまともに見られない。守家が気付いてないらしいのは幸いか。そんなわけで、守家がシャワーを浴びている隙に僕は下半身の昂りを抑えるためそういった内容の本を見つつ……一人で「行為」に至った。


 そうして「行為」を終え、振り返った僕の目に映り込んだのは……守家が顔を赤らめて座り込んでいた光景だった。

「ああっ、いやこれはっ、違う、いや違わないか、うう」

と僕は顔を紅潮させながら、しどろもどろに守家へ言葉を投げるほかなかった。そんな事をしていると守家が眼を潤ませて

「え……あ……ええと……」

「俺も……」

「抜いて、いいかな……」

と守家が言うものだから、僕は目を丸くした。

「へ……」

僕が固まっているうちに守家がズボンのチャックを下げ始め、それを見た僕は急いでティッシュ箱を渡し、布団の中へ潜った。


 しばらく経ち、守家が「それ」を終えただろうか、と考えた僕は、おもむろに布団から身体を出す。

「……」

と僕がどうしたらいいのかと黙りこくっていると、

「あの、これは、普通にゴミ箱に捨てても……」

と、片手に使用済みのティッシュを持った守家が僕に尋ねた。

「い、いいぞ?」

それを聞いた守家は、ゴミ箱にティッシュを捨てに行った。その後はつつがなく、宿題の教え合いが進んだ。まるで何も無かったかのように時間が流れ、僕はある種の恐怖を覚えた。どうやら守家は英語と数学が苦手なようで、結構苦戦していたのが印象に残っている。

 ふと窓を見ると、既に外は日が暮れ始めていた。時計を見やり、僕が時刻を確かめると、守家がもうそろそろ帰るというようなことを言ったので、僕は守家に支度を促した。そうして玄関まで守家を見送った。扉が閉まり、振っていた手を下ろすと、僕は急に切なさを感じた。

 実際にそんなことはしないと断固言えるが、もし、僕が君を襲ったら、君はどうしたんだ……?

「うう……」

 気付きたくはなかった。僕は、守家に恋をしているんだ。

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コンピ研部長の愛着 ~コンピ研の日常~ 鴨崎つゆ/鶴川よう @duck_5252

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